JTBが社員約1万3千人に冬の賞与を出さないことを発表しました。直近の夏の賞与は支給しましたが、コロナ禍による観光業への業績が直撃したことを表す結果となりました。
賞与見送りは、業種によっては今後も出てくると予想されます。給与減収傾向となった今、「副業」「兼業」に対する意識は高まりつつあります。
企業が参考にする「モデル就業規則」が改訂
常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないとされています。
就業規則の作成の参考になっているのが厚生労働省が発表している「モデル就業規則」です。
政府が掲げる働き方改革に伴い、「モデル就業規則」も更新し続けています。
そして副業を推奨するために改訂されたのが「第68条」です。
第68条には「労働者は、勤務時間外において、他の会社などの業務に従事することができる」という内容が記載されており、新たに追加されました。
コロナ禍が副業解禁を加速する
この第68条により多くの企業が副業・兼業を解禁することになりました。
入社してから定年まで同じ会社にいること自体が少なくなり、転職が一般的になりました。
しかし今後は同じ会社にいながら、別の仕事でキャリアを積んでいくとう選択肢も一般化していきます。
大企業の社員が中小企業への副業、兼業はキャリア育成でなけでなく、優秀な技能を広める結果ともなりえます。
それは都市部から地方への仕事も可能にしていきます。コロナ禍で地方での仕事を自宅でできるようになれば地方経済の活性化にもつながります。
給与減収でも副業をしたい中高年が4割
また中高年の副業に関する興味深いアンケート結果があります。
日本総合研究所が民間企業かつ東京都内のオフィスに勤務する中高年男性45~64歳にアンケート調査を実施しました。
この調査によれば、「実際に副業・兼業をやってみたい」と希望する男性は約7割になりました。本業の昇給、昇格がない世代かと思いますので、興味があるのは自然な流れだと思います。
さらに意外だった回答結果が、全体の半数である約5割の男性が業務時間および給与を削減してでも副業・兼業を行いたいということです。約4割は「1割減も覚悟の上」ということです。
フリーランスような会社員が増える
給与は減額はしても、定年退職後をみすえて将来の新しい道につなげていきたいと思っているということです。
企業側もコロナ禍などで正社員に十分な待遇が保証できなくなってくるとすれば、そのような働き方も推奨するしかありません。
また週1回、2回の受け入れを望む中小企業も増えてくると思います。しかもテレワークができる時代です。
フリーランスのような働き方で、会社からは最低限の社会保障を受けることできるのであれば、安心して興味のある仕事に取り組めるのではないかと思います。