中古アパートを専門に不動産投資をされていた方のお話です。
中古アパートを格安で購入し着実にキャッシュフローを増やしていたのですが、資産の入れ替えということで資産性のある都内での「新築アパート」にシフトチェンジされました。
いわゆる建売の新築アパートではなく、土地を自ら仕入れて企画、設計から入る本格的な新築アパートへの参入です。
新築系にシフトするのは自然な流れ
中古アパート関連の不動産投資関連の本を出版したり、セミナーを開催されたりするような有名な不動産投資家の方も、新築アパートや新築マンションを建築されている方も増えています。
キャッシュフローを得るようになれば、より安定的な新築系にシフトチェンジするのは自然な長れかもしれません。
そういう方々は、建売アパートを購入するのではなく、すこしでも利回りを中古アパートに近づけるために、土地仕入れから行います。
中古アパートのノウハウを活かした設計を行い、安全な新築アパート経営を始めるのです。
利回り重視のために部屋数を増やした
設計段階から始めるので部屋の間取りや仕様設備の選ぶことから始めることができます。これは建売住宅とは大きな違いです。
すでに中古アパートで実績を積んでいる不動産投資家であれば、入居者が好む仕様なども把握できているはずです。
入居者目線での使い勝手の良いアパートを作れば、長期的に住み続けてくれる可能性も高くなります。
しかし冒頭に記載した不動産投資家の方は、利回りを重視するために当初予定の部屋数を増やしてしまったのです。
なぜそのような状況になったのか、理由は明白でした。利回りを維持しないと銀行からの「融資」が承認されないからです。
新築は入居者ファーストでなければいけない
企画当初の部屋の大きさも20平米と一人ぐらしには丁度良い感じの広さで設計されていました。
しかし規制などの建築条件で部屋数が入らないとわかり、やむを得ず15平米という必要最低限の部屋の大きさに変更してしまったのです。
「銀行の融資が承認されずに新築は建てられない」ということは理解できますが、入居者のためのアパートではなくなってしまいます。
部屋の間取りも部屋数を確保するために縦長のいわゆる一般的な間取りにするしかありません。
広さも狭くなったので水回り部分も小さく仕上げるしかなく、仕様面でも優位性がないものになっていきます。
その方曰く「仕様もスタンダードなものになりコストが安く済んで良かった」ということですが、果たして入居者目線な作りなのかは疑問が出てくるところです。
新築の企画から入ることができるのであれば、中古でも見られるような従来型のアパートで仕上げるのではなく、入居者ファーストの仕様に作るべきだったのではないかと思います。
新築は2回転目からが本当の実力
新築アパートなので、初回は問題なく埋まることができるでしょう。家賃相場も間違えなければ、繁忙期でない時期でも申込は入りやすいです。
実際に、まだ建築中ですが半分近くは入居が決まっているようです。
しかし新築アパートは一度退去されて2人目からの入居がスムーズにいくかが重要です。
競争力のあるアパートであることが、収支を安定させるための実力になると思います。
先ほどのような従来型のアパートであれば、正直なところ施工不良問題となっている「レオパレス」アパート」と何ら代わり映えがありません。
「部屋数増やして、コストを下げて、安定的なキャッシュフロー確保」は不動産投資としては間違ってはいません。
しかし「家賃を払ってくれる」入居者をないがしろにしてはいけません。
特に自由度のある新築アパートであればなおさらです。
今回建てたアパートが3年後、5年後も同じ水準での収支がキープできるかは経営手腕にもよってくるかと思います。
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