首都圏の新築マンションの売れ行きがよくありません。2020年全体の発売戸数もバブル崩壊後の1992年以来、28年ぶりの3万戸割れという記録になりそうな勢いのようです。
一番の要因は緊急事態宣言でモデルルームの休止が相次いだことが原因です。
新築マンションは住宅ローンを組んで購入するくらいなので、インターネットで気軽に買い物できるものではありません。
新築マンションは物件が出来る前に売買契約をするのが一般的です。
実際に現地を見てモデルルームをみて購入判断します。モデルルームが利用できないのであれば、当然購入する人も少なくなります。
HARUMI FLAGが販売できない理由
先週末から県をまたぐ移動もできることになり、多くのモデルルームが再開したと思われます。
しかしモデルルームが再開しても以前販売できない大型の新築マンションがあります。
それは「HARUMI FLAG(東京都中央区)」です。東京オリンピックの選手村の敷地にできる都市開発レベルのマンションです。
「HARUMI FLAG」は、三井不動産レジデンシャルなど10社が東京オリンピック・パラリンピックの選手村を改装して販売するマンションです。
有名なマンションデベロッパー各社が手を組んだ大型マンションになり分譲数は実に4145戸です。いきなり1万人を超えるエリアが出現します。
五輪開催が来年に延期されたことで販売計画が大幅に変更することが余儀なくされたためです。
国際的なイベントが延期されるという想定外の事態が、HARUMI FLAGに大きな影響を与えています。
HARUMI FLAGは940戸しか売れていない
3LDKの間取りで72平方メートルの広さでも5700万円台からという「お値ごろ感」も出ていました。
憧れの湾岸タワーマンションを希望する若い世代の中心に見学者は5,000組を超えていました。
第1期の販売は昨年の8月でした。第1期600戸を8月5日に抽選分譲した際には1,543組の申し込みがあり大盛況でした。
最高71倍、平均2.57倍で即日完売したとの発表でしたので、相当な人気物件だったことが伺えます。
しかし現在は、販売延期の影響もある全体の1/4にあたる940戸のみしか申込をされていません。
HARUMI FLAGへの入居は2024年に延期
東京五輪・パラリンピックの選手村跡地を活用する分譲マンションになるため、引き渡し開始時期が当初予定の2023年3月でした。
五輪開催が来年に延期され、引き渡しまでのスケジュールがずれ込むため、さらに1年程度遅れる見通しになったことになりました。
2024年3月ともなれば、購入者の生活も大きく変化していることも予想されます。
マンション購入申込も延期を理由にキャンセルも出てくるかと思います。
世界の状況を見てると来年東京五輪が開催出来るかも難しいところだと思います。
IOC(国際オリンピック委員会)も再延期はないと公言していますので、また引き渡しスケジュールにも影響が出てきそうです。
コロナ禍で価値が変わるHARUMI FLAG
HARUMI FLAGは価格帯が良いだけでなく、地理的にも中央区で都心にも近いことがセールスポイントの一つでした。
しかしコロナ禍でテレワーク状態が加速する中で、職場に近い都心に住む必要もなくなっていることで、選択するメリットにならないかもしれません。
HARUMI FLAGの最寄り駅の「勝どき駅」まで20分前後かかります。
さらに「勝どき駅」はマンションなどがたち10年で倍増したため通勤・通学時間帯の混雑は激しい駅で有名なので、三密が避けられません。
アフターコロナ、ウィズコロナでの生活にも対応できるためにも、延期した期間を利用して交通面、設備面で再計画立てることも必要になってくるのではないかともいます。
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