「ギグワーカー」サイト登録者数700万人は全就業者の10%

ギグワーカーの仲介サイト登録者数700万人は全就業者の10%

「ギグワーカー」と呼ばれる単発の仕事ができるインターネット専用仲介サイトにおいて、上半期だけで新規で100万人登録したとのことです。5月末時点で約700万人が登録したことになります。

 

これは全就業者の10%に相当する人数です。オフィス勤めの会社員に絞ればさらに割合は増えていると思います。

 

先ほどの専用仲介サイト経由で企業などから単発の仕事を請け負うことができる「ギグワーカー」は新型コロナウイルス感染の影響もあり、一気に認知度が増えて新規での登録が増えました。

コロナ禍で時間ができた会社員

コロナ禍により休業や在宅勤務をすることになった会社員は、通勤時間もなくなり時間に対して余裕が出てきた一面もあります。

 

先ほどのインターネット仲介サイトはスマホでも利用できるため、より手軽に仕事ができるようになったと言われています。

 

象徴的なサービスは「ウーバーイーツ」です。コロナ禍で飲食店も店を開くことができなくなり、テイクアウト中心の営業に変えざるを得なくなりました。

 

そのデリバリーを一手に請け負うのが「ウーバーイーツ」です。

 

週末ともなれば「ウーバーイーツ」の専用リュックを持った人が電動自転車などを使って配達する姿をよく見かけるようになりました。

 

「ウーバーイーツ」は外に出る仕事ですが、ギグワークでは家の中でできる仕事も多数あります。

 

単発の仕事も隙間時間を狙って利用できるようになったことが「ギグワーク」を広めることになった大きなポイントです。

新しい仕事スタイル「ギグワーカー」とは

そもそもギグとは英語では「gig」と書きます。音楽関係に詳しい人であれば「ギグ」は「ライブ演奏」と理解しているかと思います。

短時間でミュージシャンがライブ演奏することを「ギグ」と呼びます。その短時間での意味合いから「単発の仕事」を指す言葉として使われるようになりました。

そして2015年頃のアメリカでインターネットを中心として新しい経済圏として「ギグエコノミー」(gig economy)が造語として出てきたのです。

そしてその経済形態の中での一つのワークスタイルとして、「ギグワーカー」(gig worker)という働き手のことを差します。

ギグエコノミーの仕事とは
  • 配車サービス
  • デザイン制作
  • プログラム開発
  • コンテンツ制作

時間と場所を選ばない「ギグワーク」は、個人スキルがある人にとってはメリットのある仕事形態です。

ギガワーカーのメリット
  1. 自由なな働き方ができる
  2. 自分に合った才能やスキルで仕事ができる
  3. 事前の準備が短縮されている

1.自由なな働き方ができる

従来の会社員とは異なり勤務時間や仕事量、働く場所を自分の希望で選ぶことができます。仕事とプライベートの切り分けができることが大きいです。

「今週は週末だけ働く」「1週間働いて次の1週間は休む」といったような会社員では考えられなかった勤務時間が可能になります。

2.自分に合った才能やスキルで仕事ができる

会社員であればスキルや才能が活かす仕事が出来ない場合があります。「資料作成」や「文章作成」が得意という人であれば、ギグワーカーであればその分野に特化した仕事を選ぶことができます。

そのような専門的な仕事でもインターネットを通すことで、効率的に仕事を受注ができるようになったことで実現できます。

3.事前の準備が短縮されている

企業への採用ではないので面接なども必要ない場合があります。インターネット経由での受注であれば自己紹介となる履歴書と実績さえあれば仕事がマッチングされます。

人気の「ギグワーカー」でもデメリットがある

人気のギグワークでもデメリットがあります。これは労働者保護の観点からすれば、まだまだ不安定な環境にあることです。

 

ギグワーク自体は「フリーランス」と同じなので、社会保障や各種手当などの面では正社員と比較すれば安心してできる環境ではありません。

ギガワーカーのデメリット
  1. 仕事が不安定である
  2. 契約上のトラブルがある
  3. 福利厚生がない
  4. ローンが組めない

1.仕事が不安定である

ギグワーカーで働く人々は、フリーランスや非正規雇用として契約していることが大半になります。そのため雇用形態は不安定であり、継続的に仕事があるとは限りません。

 

優秀であるスキルであればしばらく仕事は継続できるかもしれませんが、常に仕事を失うリスクと共に生活しなければなりません。

 

2.契約上のトラブルがある

個人企業からの一方的な報酬の引き下げや業務の打ち切りといったリスクがあります。

 

また実際に行った仕事での事故が発生した際の損害賠償責任などにも対応しなくてはいけません。

 

これらを守るためには受注者としての契約は必須です。契約条件を必ずみておかないといけません。この点はまだ国内でもルールが安定していないのでしばらくは注意して対応していくしかありません。

3.福利厚生がない

会社員であれば当然のようにあった「福利厚生」がありません。 年金も保険も自ら登録して支払うことが必須になります。こちらの費用も会社員であれば折半されていたのが全額支払うことになります。

また労災保険も適用されないため業務上の安全は、自主的に管理するしかありません。

4.ローンが組めない

若い世代であれば関係ないと考えるかもしれませんが、安定した収入がないので「ローン」と呼ばれるものが組めません。

 

家を購入するための「住宅ローン」や車を購入するための「マイカーローン」などが利用できないのです。

 

また状況によっては「クレジットカード」の審査も通らない場合もあります。

 

現金を上手に貯めることができるのあれば問題ないですが、大きな買い物は難しくなります。

「ギグワーカー」だけの生活はリスクがある

デメリットのある「ギグワーカー」ですが、この雇用スタイルだけではリスクがあります。

 

会社員であるならば「副業」という選択肢で行うのであれば、安定した給与がある中での副収入として、大いにメリットがあります。

2019年の国内の副業者は約436万人です。多いように思いますがフリーランス大国であるアメリカの3分の1以下の数字です。

 

今後、企業も景気が不安定な中では、社員の残業代や基本給与を維持することも難しい時代になってきます。

 

そうなれば企業側も「副業を容認」せざるを得ないと思います。

 

雇用形態がフリーランスに近いジョブ型のフラットな企業が増えていくのではないかと思います。

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