新築アパートは「生命保険商品」として購入してはいけない

資産形成のためのアパート

新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受けて、安倍総理大臣は、東京など7都府県を対象に「緊急事態宣言」を行いました。

 

宣言の効力は来月5月6日までとして東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡が対象となります。我々の行動範囲が大きく代わります。

 

すでに駅近くの商業施設などは軒並み「休業のお知らせ」が出ています。これから1ヶ月の間は繁華街や交通機関での人の少なさなど体験のしたことがない状況が続くと思います。

 

これからの日本経済に不安が先行します。5月6日に緊急事態宣言が終了する保証はありませんが、各自が意識を持って乗り切るしかあれません。

新築アパートは生命保険商品か

新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため「STAY HOME(家で過ごそう)」という呼びかけが世界中に広がってます。

 

外出をしないということになると、情報を収集する手段としては「テレビ」ないし「インターネットメディア」がメインになっていくと思います。

 

インターネットメディアでは同じようなニュースばかりなので「広告」につい目を奪われることが多くなって来ました。そのうちの一つに「新築アパート」に関する広告で少し違和感のある内容がありました。

 

それは「新築アパート」が「生命保険商品」になるとした内容の広告です。

 

新築アパートを販売する営業手法として、一般的な不動産投資のメリットである「家賃収入」をメイン目的にしたものが大半です。

 

販売元のホームページなどを見るとおおよそ下記のようなことを挙げていることが多いです。

新築アパートのメリット

・頭金が少なくても始められる
・「安定収入」が期待できる
・減価償却費による節税効果が期待できる
・将来の生活の備えとなる
・相続税対策になる

個々の項目自体には間違ってはいませんが、販売する不動産の内容が購入する方の条件によって異なるので、すべての人に恩恵があるわけではありません。

 

しかし先ほどの新築アパート販売はさきほど挙げたセールスポイントよりも「生命保険の代わりになる」ということをメイン訴求にしているのです。

不動産が「生命保険商品」と言われる理由

新築ワンルームマンション投資が「生命保険の代わりになる」とした販売をしていることがあります。これは金融期間から融資を受ける際に団体信用生命保険に加入するからです。

 

団体信用生命保険は、団信と呼ばれおり住宅ローンの際にも適用されます。返済中に万が一のことがあった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保障制度です。

 

住宅ローンで利用する場合には、万一の不測の事態も考えなければなりません。その際に収入が激減すれば、たとえ一般の生命保険に加入していても保険金を生活費に充てられて自宅に住み続けるのは難しくなります。

 

この団体信用生命保険に加入していれば、万が一のときに、生命保険会社から支払われる保険金によって住宅ローンの残債務が弁済され、残されたご家族に住宅ローンが残らず自宅に安心して住み続けることができるのです。

 

今回の広告では自宅ではなく新築アパートとしているだけで、生命保険効果があるとしています。

 

また一般的な生命保険の保険金との大きな違い保険金の行き先が異なります。

 

万が一があった際に生命保険金がご家族に支払われるのか、残債務の返済のために銀行に返済として支払われるのかの違いしかありません。

 

ただ、新築アパートは自宅ではありませんので、現実的に家族が住むことができません。

生命保険商品として売るしかない新築アパート

新築アパートを「生命保険の代わりになるので、生命保険を解約して不動産オーナーになりませんか」ということをセールスポイントにしているのは何故でしょうか。

 

それは家賃収入がメインである不動産投資でありながら、投資魅力に値するような「キャッシュフロー」が得られないということです。

 

利回りの高さや資産価値などでセールスメリットが見出せない物件なので、生命保険と割り切って販売するしかないのではないかと予想されます。

 

不動産投資として販売される新築ワンルームマンションは、家賃収入よりローンの返済額が多く赤字経営になりやすい不動産商品です。数千円〜数万円の持ち出しになることが多いのです。

 

そんなときに畳みかけるように「毎月数万円も保険料を払うよりも、賃貸収入を得ながら資産形成ができる方が良いのではないでしょうか。」と言われれば納得する方も多いのではないかと思います。

 

今回はその新築ワンルームマンションの販売手法に利用したかたちで新築アパートを販売しているのです。

資産価値も期待できない新築アパート

新築ワンルームマンションよりも高い価格の新築アパート物件を「生命保険」代わりとして納得して購入する人がいるのか疑問に思います。

 

新築ワンルームマンションと違って土地があるため「資産価値がある」として売り出しているのかもしれませんが、残念ながら対象広告の先にあるページには利回りや家賃収入をメインにはしていません。

 

投資としてのメリットである「お金」の話がメインではない物件なので、資産価値が高くない土地なのではないかと思われます。

 

緊急事態宣言で外出が自粛されるようになり「お金」を使う場面が減っていくと思います。「今だからこそ資産形成」という投資商品が今後多数出てくると思います。

 

購入者の目的次第ですが、新築アパートは少なくとも生命保険代わりだということで購入するものではないように思います。

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