「かぼちゃの馬車」物件が高齢者向け住宅へ再生か

スマートデイズ社が提供した「かぼちゃの馬車」の不正融資に伴い、不動産投資としては不適格という印象をもったシェアハウスですが、自治体としても高齢者向けの住居として新たな利用方法を模索をしているようです。

東京都足立区は小規模シェアハウスの新規開発を独自規制する。2階以上で10室以上のシェアハウスについて、1室あたりの最低面積を都の条例が定める基準より広げ、室数と同じ台数の駐輪場設置も義務付ける。

女性専用シェアハウス運営業者の破綻が社会問題化する一方、高齢者などの受け皿になるとみて、良質な物件開発を誘導する。

引用:日本経済新聞

 

今回の「かぼちゃの馬車」の物件所在地としても挙げられていた東京都足立区ですが、実際には都内でも有数のシェアハウス集積地となっているようです。確かに建売での新築アパートも一時期足立区に集中していた時期がありましたので、土地相場から建築しやすい条件がそろっていたのかもしません。

 

今回の規制は、すでに東京都23区内で実施されているワンルームマンションの開発規制に通じる部分があります。ワンルームマンション規制は1980年代から始まり、2002年頃からはその内容が強化されています。現在では23区すべてで条例または指導要綱による規制がされています。

 

バブル期のワンルームと比較して最近のワンルームは25㎡以上にする地域など広くなっています。規制強化の結果、価格にも反映されるので新築ワンルームでも2,000~3,000万円以上の高価格になっており、中古ワンルームマンション投資でも軒並み利回りが下がってきています。

 

シェアハウスを想定した改正条例に違反した場合「区は建築主らに改善を勧告する。勧告に従わない場合は名称などの公表ができるようにする」など厳しく取り締まりを行う方針なので、価格に対しても反映されていくのではないかと思います。

 

墨田区が5~10月に行ったシェアハウスの実態調査では、区内の物件総数は313棟もあり、このうち、破綻した「かぼちゃの馬車」の運営会社が管理していた物件が少なくとも約70棟あることが判明しました。

 

平均入居率は約4割で、月額家賃は3~4万円という調査数字も出ていますので、不動産投資としては不適格なことも浮き彫りにされています。駐輪場やごみ置き場が確保されていない物件もあり、管理者が確認できない物件もあるなど、ずさんな不動産投資物件だったということが改めてわかります。