「サブリース」は天使なのか悪魔なのか

サブリース

 

地方銀行による不正融資が発生した原因の一つに投資対象物件そのものに過剰な評価をつけてしまっことが原因となっています。もう一つ評価して見誤ったものとして「サブリース物件」を評価してしまったことです。

 

サブリース物件は、不動産投資をするうえでオーナーにとってメリットが出やすい内容になっていますが「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズのように破綻をしてしまえば、家賃保証どころではありません。

 

不動産投資を勉強している方々からすると家賃収入としては「不適格」なサービスと思っているかと思います。実際に家賃収入の90%しか入らなかったり、入居状況によって一方的に家賃が下げられたりするとメリットがほとんどありません。実際に物件所有者とサブリース業者の間でトラブルが絶えないという報道をよく聞きます。

 

中小・零細事業者だけではなく、大手企業がグループ内でも実施されているので、全国にはおよそ3万業者もいると言われています(実際には把握できないようです)それほどまで悪い評判が先行しているのになぜなくなることはないのでしょうか。改めてサブリースのメリットだけを挙げてみますと大きく3つに絞られます。

 

 

 

1.管理業務を一括委託
サブリースでは物件所有者が運営者ではなく、入居者にとって借主となるサブリース会社が管理責任を負いますので、入居付けから契約など通常の管理業務はすべてサブリース会社に任せることができます。

 

2.空室・滞納リスクを防げる
一括借り上げなので、その賃料に空室や滞納は影響しません。特に滞納リスクは、減収かつ人的トラブルによるものなので、実際に対応すると精神的にも疲れます。

 

3.入居者トラブルでの対応が必要ない
家賃や退去を巡るトラブルでは、入居者にとっての大家はサブリース会社になるため、物件所有者が直接当事者になることはありません。

 

サブリースを導入することにより賃料収入が安定するメリットは、借り入れたローンの返済も安定するメリットに繋がりますので、サラリーマンで本業が忙しい場合は非常に助かります。投資として割り切れば理にかなっているのかもしれません。

 

しかしながら家賃設定などは、サブリース業者のゆだねるしかないため、キャッシュフローは出ない構造になっています。それではなぜサブリースが残っているのか、一つには相続によってアパート運営を継承したのであれば有効となる場合があります。

 

物件の所有者が高齢化したり、物件から遠方に住むオーナーから相続する際に活用されます。もともとアパート経営に積極的でない相続人であれば、固定資産税などの運営費を賄うレベルであれば十分にサブリースで対応できるからです。

 

新規での不動産投資としてサブリースがキャッシュフローがなくメリットがほとんどありませんし、融資をする銀行も評価する時代ではなくなったと思います。しかしながら返済がない無担保の築古のアパートを持っているのであれば運営をすべて委任できるので、良いサービスともなりえます。

 

サブリースが完全に無くならない理由は、他にもあると思いますが考えによっては、安定するアパート経営のサービスになりえるのかもしれません。