新型コロナウイルスの影響が続く中、住宅ローン返済に不安を抱える人が急増しています。先日もニュース番組で特集が組まれていましたが、経済的な不安定な中で計画通りの住宅ローンの返済ができない状況になっています。
緊急事態宣言発動により、仕事によっては休業になり給与も減額されたことが大きな要因ですが、背景には「住宅を売りすぎていた」という事実が潜んでいます。
30代の住宅ローン返済が急増
住宅ローンの返済相談をする人は急増しています。住宅ローンの一つである「フラット35」を提供している住宅金融支援機構では2月はわずか15件だった相談件数が、3~5月に2250件になったとのことです。
とくに30代からの相談が増えているとのことです。住宅ローンは、過去10年間で世帯主が29歳以下は約2.5倍、30~39歳で約1.9倍に膨らんでいます。
この要因としては「低金利の住宅ローン」を武器に、不動産業界が若い世代に年収限度額近い住宅を販売していた ことが挙げられます。
年収の10倍近い住宅ローン
住宅ローンといえば、10年ほど前であれば年収の5~6倍が通常でした。年収500万円であれば2500万円~3000万円が相場になります。
頭金を500万円ほどいれることができるのであれば、3000万円~3500万円程度の住宅が購入できるということです。
しかし、今は低金利の時代なので、不動産業界も金融機関もかなり緩和されており、年収の10倍までは借りれる場合もあります。
先ほどの年収500万円であれば、5000万円も借りれることになります。その分月々の返済金額も高くなります。
しかし今回のコロナ禍で返済計画が狂うと非常に影響が大きく、支払いが滞るリスクが高くなります。
郊外に家を購入するしかなかった30代
多くの住宅ローンを組めれば、都心にも家が買えると思いきや、その分都内の不動産価格はバブル的に高騰しました。
都内のタワーマンションであれば、1億円前後するものも出てきており、年収500万円では買えない物件ばかりです。
そうなると必然的に予算にあった郊外の物件になります。郊外のマンション、一戸建てを購入する30代が増えたのです。
郊外物件はもともと中古市場でも高い取引をされていないので、返済に困って売却してもローンが残る可能性が高いです。
テレワークで郊外住宅の再評価
一方で新型コロナウイルスにより、テレワークが中心となる新しい生活様式が浸透しつつあります。
オフィスの近くに住む必要がなくなってきているのです。週に1回程度の出勤であれば片道が1時間半~2時間近くかかっても、それほど負担にならないという考え方です。
そうなると郊外にある住宅も再評価されていきます。
駅から遠くても周辺環境において買い物、教育、医療が充実しているのであれば市場価値が保たれるかもしれません。
住宅ローン対策は政府の現金支援が必要
今回の新型コロナウイルスに対する政府の経済政策では「家賃」に対する現金での支援はありますが、「住宅ローン」に対する施策は銀行に相談するしかありません。
返済期間の猶予や月々の返済額を減額する形になりますが、支払い自体のお金が減るわけではありません。
住宅ローン減税はありますが、新たに住宅ローン利用者への金銭的な支援も必要になってくるのではないかと思います。
緊急事態宣言解除で、経済的な支援策が一回りした感じがありますが、第2波も含めてこれからが本格的に対策をしなくてはいけないのではないかと思います。
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