絶対に年収10倍の「住宅ローン」を組んではいけない

年収10倍の住宅ローンを組んではいけない

若い世代の持ち家志向が高まったいるようです。「自宅購入」をすると賃貸暮らしの自由さはなくなりますが、長期的な住まいが確保できることは安定志向の若い世代にはフィットしているのだと思います。

 

それに後押しするかのように住宅ローンの低金利化が加速しています。周囲でも「借換」を含めて低金利の住宅ローンを組む人が増えています。

 

また住宅ローン控除に関しても年間で最大40万円まで拡張されています。年末の12月の給与に現金として戻ってきますので、サラリーマンであればボーナス的な感覚で受け取れるのでメリットがあります。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度の通称です。マイホームをローンで購入した場合において、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度のことをいいます。

住宅ローンは年収の10倍まで利用できる

サラリーマンであればどれくらいのお金を借りる事ができるのでしょうか。10年近い昔であれば手取り年収の20~25%までのお金を返済に充てるイメージです。この数字を「返済負担率」と呼びます。

 

年収500万円であれば、年間で100万円~125万円が住居費として出せる計算です。月額にすると8~10万円前後を返済する形になります。そこで今住んでいる家賃と比較しながら無理のない返済計画を立てていきます。

 

しかし最近は低金利になったこともあり、年収の10倍まで融資できる金融機関が増えてきました。先ほどの返済負担率を35%まで引き上げているのです。

 

そうなると計算上では年収10倍までのお金を借りることができるのです。年収500万円であれば5000万円まで借りることができる計算になります。月額にすると14.5万円の返済金額になります。

年収の10倍ローンを組んではいけない

しかし年収10倍の住宅ローンは組んではいけないモデルです。購入時には問題ない計算だったかもしれないですが、年を追うごとに負担がかかってくるのです。

年収10倍ローンの注意点
  • 管理費や積立修繕費の負担
  • 金利の上昇リスク
  • 家族が増えるごとに教育費の増加

マンションを購入した際に、不動産購入費用以外に管理費や積立修繕費の負担が増えていきます。特に積立修繕費は、15~20年ごとに発生する大規模修繕に充てられます。しかし管理会社が正しく運営できておらず、お金が不足した場合は臨時で出費が発生することも考えられます。

 

現在、低金利が実現できるのは「変動金利」による住宅ローンです。固定金利もかなり下がってはいますが、「変動金利」のほうが条件が良いです。変動金利などで上昇をする可能性があります。

 

今の時点では金利を上げることはないと状況ですが、ローンを組んでいる30年や35年後はさすがに状況はわかりません。ギリギリでの返済計画になっている場合は余裕がないため注意が必要になります。

 

また教育費の負担も重くのしかかってきます。給与が増えていく前提であればよいのですが、子どもの進学先によっては昇給額以上に教育費の負担がかかってきます。

年収500万円の10倍ローンのリスク

また同じ年収10倍ローンでも「年収1000万円の家庭が1億円借りる」のと「年収500万円の家庭が5000万円借りる」のは条件が違います。

 

年収1000万円であれば家計を贅沢をせずに生活費を切り詰めることで乗り越えられる可能性がありますが、年収500万円の家計の場合は節約するにも限界があります。

 

贅沢はできないのは当然ですが、食費や光熱費を削ることは難しくなります。加えて先ほどの教育費や積立修繕費などで生活費が圧迫されることが予想できます。

 

年収500万円の10倍ローンを組んで家を購入することはリスクが高いのです。

無理のない住宅ローンは年収5倍のローン

それでは年収500万円であればどれくらいの金額での借入であれば問題ないのでしょうか。その基準となるのは年収5~6倍までの住宅ローンとなります。

年収 住宅ローンの目安
500万円 約2,850万円
600万円 約3,430万円
700万円 約4,000万円
800万円 約4,600万円
900万円 約5,140万円
1,000万円 約5,710万円

年収500万円であれば2,500~3,000万円が妥当な金額になるのです。さすがに2,500万円ともなると新築であれば郊外の不動産になってきます。少しでも予算を上げて購入したいのであれば、頭金を貯めて借入金額を最大限に活かすしかありません。

 

それでも頭金がないからと言って都心に勤めてる人が埼玉や千葉の郊外で予算に見合った家を購入するのもリスクがあります。

 

郊外の不動産は都心の不動産と比較して値下がりするスピードが早い傾向があります。3000万円で購入しても30年後は建物自体に価値がなくなり土地だけの評価になります。

 

建物価格は都心でも郊外でもそこまで差がでないので、土地だけの価格で比較したときには歴然の差が出てしまうのです。エリアによっては新築で3000万円で購入したものが300万円にしかならないといったことも考えられます。

 

そうなると住み替えや現金化など急を要したときにに高値が売却できず、ローン返済が残る可能性が出てきます。

 

資産価値が大きく目減りしないかは購入時に慎重になることが絶対に必要です。

 

あわせて読みたい
住宅ローンで家を買う 「住宅ローン」には必ず頭金を入れたほうが良い理由 35年の住宅ローン 銀行はなぜ35年で住宅ローンを組ませるのか