新型コロナウイルス感染の影響が、今週に入ってから賃貸不動産にも広がり始めています。
特に商業施設やホテルで、テナントからの賃料減額要請が相次いでいるとのことです。
テナントからの賃料減額要請
テナントから家賃が入らないことには賃貸業が成り立ちません。自粛、休業要請で売上が立たないテナントからすれば家賃の減額、延滞を求めることは自然な流れです。
しかしテナントビルを所有オーナーとしても簡単にテナントの家賃減額や延滞に応じることはできません。
所有オーナーも銀行から借入をしていることが大半なので、返済が滞ってしまうことになり賃貸業が維持できません。
不動産関連を管理する国土交通省としても先月末の3月31日に賃貸用ビルの所有者などに対し、賃料支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置を取るよう要請を開始しています。
しかし所有者からすれば簡単には応じれるものではありません。
賃貸用ビル所有者の経営も維持するために金融庁より金融機関に対し、賃貸事業者を含む事業者や個人の有するローンについて、返済猶予など条件変更に迅速かつ柔軟に対応するよう要請もされているようです。
新規開発の物件にも影響
既存の物件での家賃収入だけのイメージでしたが、新規で開発している不動産にも影響が出ています。
今年は特に東京オリンピック開催による多くの集客が期待されていたこともあり、多くの商業施設やビルなどがオープンを予定していました。
4月だけでも下記のテナントがオープンする予定でしたが軒並み5月以降に延期が発表されています。
- アトレ竹芝
- ウィズ原宿(WITH HARAJUKU)
- 羽田エアポートガーデン
- 有明ガーデン
- 三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド
新型コロナウイルスの感染拡大により世界各地で生産や物流に遅延が発生していますがオープン準備において出店テナントから大きな支障が出ているといった状況ではないようです。
あとはオープンするだけの状況なので早く新型コロナウイルス感染が減少して、緊急事態宣言が解除され、普通に外出できることを願うばかりです。
REIT(上場不動産投資信託)にも影響
投資信託でも人気のあるREIT(上場不動産投資信託)にも、テナントからの賃料減額要請が相次いでいます。
ホテルや商業施設を多く保有するREITとしても支払いができないからといって強制退去するのにはリスクがあります。
一度テナントが抜けると、次のテナントを見つけて入居するまでには住居系と異なり時間がかかり、その間賃料はゼロになるからです。ましてやこのような状況下で新規で契約するテナントは皆無に等しいと思います。
テナント維持をする機会損失を考えれば、多少の賃料見直しはやむをえないのが現状だと思います。
非常事態宣言も一週間たちましたが、減速しているような状況ではありません。5月6日に解除される保証もありません。
テナント、オーナーどちらにとっても判断が難しい状況が続きます。2〜3ヶ月も続くとなると融資をしている銀行などの金融業界も含めて影響が大きくなりそうです。