不動産投資の関連会社からの中古物件に関する提案メールをみると、少しづつ利回りが上がってきているような印象があります。(今までが低すぎたのかもしれません)今年の株式市場も低調でスタートし長期化する恐れもあります。そうなると現金が必要な企業や投資家は年度末に向けて不動産売却傾向が強くなってくると思われます。
メール内容を見ると「地方の中古一棟マンション」物件も値ごろ感のあるものが出てきました。中古マンション物件は以前何件か検討をしてみましたが、自分のスタンスには合わないということもあり避けてきました。しかし短期間で数億円単位で資産をつくるには「中古一棟マンション」が一時期ブームになりました。
「中古一棟マンション」物件を購入する理由としては一番大きいのは「融資を受けやすい」からだと思います。耐用年数が法定上では47年と長いため、長期での融資を受ける可能性が高いのです。地方物件で利回り9~10%程度でも多額のキャッシュフローが得られるとして、サラリーマンの購入者が続出しました。
しかし実際には、固定資産税や運営管理費、修繕費がかかります。利回りはあくまでも満室想定での数値のため、実際には「入居率が50%」など低い場合での不動産経営がスタートになります。先ほどの9~10%程度の物件でも実際のキャッシュフローが1%以下になることが大半だったと思います。
1億円の物件で年間キャッシュフローは100万円以下という計算になります。当時はこのような物件が初心者でもフルローンやオーバーローンで購入できたと言われています。「ほとんど現金使わずに100万円あればいい」と言われそうですが、ここに税金がかかります。1億円の投資物件で9~10%程度の利回りであれば「不動産所得」に対しての税金も高額になります。
おそらく今後問題になるのは「中古一棟マンションは出口が見つからない」という状況に追い込まれる可能性があります。同じ中古一棟マンションでも都内のタワーマンションのように一般の方が転売を繰り返していける物件ではありません。地方中古一棟マンションであればなおさら売却できる相手は限定されます。
しかも融資も締まった状態になればかなり厳しくなります。木造で小規模なアパートであれば建て壊して更地にして戸建て用として売却できるなど選択肢がありますが、中古一棟マンション物件では解体費用も高額になるので簡単にはできません。
そう考えると「中古一棟マンションは購入したら最後まで持ち続ける」しかない物件なのです。維持管理費と税金との戦うことが必要な物件なのかもしれません。「資産10億円でキャッシュフロー1,000万円」的な不動産投資スキームはすでに過去のものになっているのでしょうか。
実際の収支とは乖離した表面的な数値で行う不動産投資は「自己満足」だけに陥る可能性があるので慎重な判断が必要だと思います。