近年、分譲マンション業界にも新たな動きが出ています。少子高齢化社会下でのお客さんの減少、大規模マンションをたてれるまとまった土地も少なく、オリンピックの影響もあり建築費は高騰し、材料も品薄状態という状況です。
少しでも効率を上げるのであれば「ワンルームマンション」という方向も考えられますが、一般的には投資用マンションと呼ばれるカテゴリなので、お客さんから積極的に購入することは難しく販売手法が限られてきます。
そうした中で各社は限られた土地に対して色々と検討を重ねます。いろいろな収支のせめぎあいの中で、誕生したのがコンパクトマンションのカテゴリーでした。
業界的な裏事情があるものの、確実に販売すれば売れることができるマンションの一つになっているようです。
目次
コンパクトマンションとは
これまで分譲マンションといえば家族がターゲットのファミリーマンションでしたが、ここ最近出てきているコンパクトマンションのターゲット違います。
- 単身者がメイン
- Dinks(夫婦二人住まい)向けも含まれる
- 広さは30㎡台
- 間取りは1LDK~2LDK
コンパクトマンションのメリットとは
都心を中心としたコンパクトマンションは、若い世代にも受け入れられるライフスタイルに合わせて設計になっています。
- 購入するので家賃を払わなくてよい
- 駅近など利便性の高い場所にある
- 同じ環境の住民が住んでいる
- 共用設備も充実
購入するので家賃を払わなくてよい
単身者は実家に暮らすか賃貸に住み続けるのが一般的でしたが、晩婚化も増えてきており賃貸で住み続けるのはもったいないと感じる方も増えてきています。
そこで出てくるのがコンパクトマンションです。単身でも購入した方が手元に資産を残せ売却したり貸したりできるのでお得というセールスポイントが挙げられます。
駅近など利便性の高い場所にある
駅前などは建物が密集しているで大規模な土地が取れません。人気の土地は高いので供給されても高額になってしまうため、大きさの小さい住戸の方が購入しやすい価格で設定できます。
同じ環境の住民が住んでいる
ファミリーマンションであれば子供が騒ぐなど周辺との付き合いでストレスを感じる場合があります。
しかしコンパクトマンションを購入する住民は基本みんな単身者ですので、騒音などのトラブルにもなりにくい傾向があります。
共用設備も充実
充実した共用設備も分譲マンションの魅力です。最近のタワーマンションようなゲストルームやジムのような設備はないものの、単身の女性でも安心なトリプルセキュリティの採用など設備が充実していることも挙げられます。
また全住戸向けの宅配ボックスや浴室乾燥機など住むことの快適さは提供できるような設備になっています。
コンパクトマンションのデメリットとは
しかしコンパクトマンションが全て良いとは限りません。単身者に絞っているだけで快適とは思いますが、デメリットも存在します。
- 住宅ローン控除が受けられない
- 購入時の税金控除がない
- ライフステージの変化に対応できない
- マンション管理が難しい
住宅ローン控除が受けられない
建物の床面積が50㎡を切るものについては、各種の税制特典の恩恵が受けられないのです。その一つが「住宅ローン控除」です。
毎年末のローン残高の1%相当額が10年間にわたって所得税から控除されるという特例です。
コンパクトマンションの場合はこの特例を受けるための条件の一つとして、床面積が50㎡以上を満たせていない場合が大半です。
購入時の税金控除がない
次に購入時の優遇処置がコンパクトマンションには適用されません。
登録免許税、所有権移転登記や抵当権設定登記を行うときにかかる税金ですが、こちらも適用を受ける条件の一つに、床面積が50㎡以上という規定があるのです。
ライフステージの変化に対応できない
コンパクトマンションは基本的には単身者向けの住居です。結婚して二人暮らしまでであれば許容範囲ですが、家族を持つ一気に手狭になります。
また最近流行のリフォームなどで変化をつけることも難しい広さなので、将来的にライフステージに合わせた生活には不向きなマンションです。
マンション管理が難しい
ライフステージに対応できないとなると、他人に貸し出しをするということが考えられます。そうなると住民の大半が所有者ではなくなるので、マンションの管理自体が不安定になりがちです。
ワンルームマンションのように組合員不在で運営が進んでいくようなことになれば、管理費や大規模修繕の対応などでも満足いく対応ができない可能性があります。
コンパクトマンション購入は慎重にすべき
ワンルームマンションの不正融資が取り沙汰され、不動産会社全体的に販売が厳しくなる中ではコンパクトマンションは、お客さんに提案しやすい商品の一つかもしれません。
住居用なのか投資用なのか目的が人によって分かれる珍しいカテゴリーの不動産だと思います。
しかし購入するときは販売側の利益が多く載っている商品だということを忘れてはいけません。
資産価値的に問題ないかなど購入する際には判断は慎重にするべき不動産だと思います。