「一戸建て」を「マンション」に住み替えてはいけない

マンション管理

持ち家のある人は、家族構成の変化に応じて「住み替え」をする場合があります。モデルケースとして挙げられるのが郊外の戸建て住宅から都内のマンションへの住み替えです。

 

子どもがいるときは教育環境も考えて、勤務先から1時間程度の郊外に4LDKの「一戸建て」を購入したのに、子どもが成人になり家を出たこともあり、コンパクトな都内の2DKのマンションに住み替えを行うのです。

 

しかし注意しないといけないのは、マンションに住む際の維持費の違いです。戸建て住宅では想定しなかった費用がかかります。そしてすでに働いてない年金での生活をしているのであれば、家計を圧迫する可能性があるからです。

 

築15年~20年前後であれば、新築の6割価格

都内のマンションともなれば金額的にも高く、戸建てを売却したお金があったとしても、新築ではなく中古マンションを購入すると思います。

 

築15年~20年前後であれば新築販売価格の6割前後に下落しているので、値ごろ感がある価格だと思います。新築価格が5000万円であれば、3000万円前後で購入できるのです。

 

築15年~20年とは2000年以降の物件なので、オートロックや宅配ボックスなど仕様に関しては最低限のものは完備されていますので、生活するうえでは不便ないと思います。

 

しかし、この築15年~20年というのがポイントで維持費がかかる分岐点にもなります。

 

必要となるマンション維持費

マンションを所有した場合は、一戸建てでは通常必要のない維持費があります。

マンション維持費
  • マンションの管理費
  • マンションの修繕積立金
  • 駐車場代

 

マンションの管理費とは

快適な暮らしを維持していくための運営費用です。

  • 管理人の常駐費用
  • 清掃員によるゴミの収集
  • エントランスの清掃費用
  • 定期的なフロアーの清掃費用
  • 共用部分の光熱水道費
  • 共用設備の点検・保守費など

 

一般的には管理組合が管理会社に委託しています。その費用として充当するのです。またマンションの場合であれば、エレベーターや共有部の電気代、またボイラーなどの設備費用も管理費からの支出されるのです。

 

マンションの共有部にかけるマンション総合保険や地域によっては町内会費などの支払も住民が負担することになります。

 

マンションの修繕積立金とは

快適な暮らしを維持していくための運営費用です。

  • 建物劣化診断の費用
  • 外壁や鉄部等の塗装費用
  • 屋上の防水工事費用
  • 給排水管の工事費用
  • 消防や防災設備の取替工事費用 など

この修繕積立金は国交省が推奨する適正価格より低く設定されている場合がほとんどです。

 

購入するときはそれほど負担を感じないのですが、築年数の経過とともに値上がりする計画になっているマンションが大半です。

 

とくに最近問題になっているのがタワーマンションの積立修繕金です。築年数が経つにつれて4~5万円かかるともいわれています。

 

年間で70万円以上の維持費が必要

先ほどの都内の中古マンションであれば、維持費を見積もっておかないといけません。

中古マンションの年間維持費シミュレーション

管理費:2万円 ✖ 12か月 = 24万円

修繕積立金:2万5000円 ✖ 12か月 = 30万円

駐車場代:1万5000円 ✖ 12か月 = 18万円

年間にすると72万円もかかる計算になります。これは想定以上のコストです。しかも築15年ともなると大規模修繕の時期に重なる場合があります。

 

そうしたときに「修繕積立金」で賄えればいいのですが、足りない場合が臨時でお金を集めなくてはいけません。さらに数十万円の負担になるかもしれません。そうなると100万円近くの負担が必要になります。

 

郊外の一戸建てであれば、そこまで必要になかったお金が毎月毎年掛かってくるのです。しかもこの金額は年数が経過するごとに増えていく可能性が高いのです。

 

郊外の戸建てから都心のマンションへの住み替えは憧れのライフスタイルですが、家計を検証したうえで計画的に行う必要があります。