首都圏の新築マンション市場が新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。
不動産経済研究所(東京・新宿)が18日に発表した5月の首都圏(1都3県)新築マンション発売戸数は前年同月比82.2%減の393戸となりました。
先月の4月実績の過去最少の記録として話題になりましたが、をさらに下回った形になります。
関西地区でもタワーマンションの開発が延期になるなど、マンション業界に逆風が吹く形になっており、しばらくはこの傾向が続くと思われます。
都心マンションは「時間をかけて売る」戦略
とくに東京都心のマンションの売れ行きは芳しくありません。
都心の1億円近い高額なマンションの購入検討者は激減しています。外国からの投資目的による購入も減速しました。
しかし新型コロナウイルスによる影響だけでなく、昨年末くらいから見られていた傾向です。
不動産価格が高騰しすぎたのです。購入できる人が限られていたために需要と供給のバランスが合わなくなりました。
すでにマンションデベロッパーの間では、立地がよいタワーマンションでもすぐに完売できるような状況ではなくなりました。
そのため新築マンションが完成しても「数年かけて販売する」方針転換をし始めています。
急激にニーズが高まった郊外マンション
不動産業界にも異変が出てきているのです。新型コロナウイルスにより売れ行きが落ちるどころか、急に売れ出したエリアがあります。
それは、東京郊外のマンションです。都心での駅近マンションは値段も高く、居住性が良いとは限りません。
しかし、郊外のマンションは価格に対して「広い」物件を購入することができるのです。
3LDKが3000万円台半ばという価格帯です。都心で4000万円クラスの新築を検討しているのであれば、さらに広めのマンションを購入することができます。
しかし交通網に関しては都心のマンションと比較すると決してよくありません。
3000万円台の価格帯になると駅から15分以上やバス利用によるマンションになり、都心のオフィスに通うにも2時間近くかかる場合もあります。
交通の便が良くない郊外マンションでも人気を急激にあがっています。
賃貸暮らしをしている家族からすれば、家賃と変わらない値段で快適に暮らせることを選択し始めているのです。
郊外マンションはテレワークが後押しする
ニューノーマル(新業態)が始まったことで不動産業界でも想定しなかった状況になりました。
それは「テレワーク」です。自宅で仕事をすることがごく普通になってしまったのです。
都心のオフィスに構える企業の多くは「テレワーク」導入を積極的に行っています。
郊外マンションに住んで、オフィスから遠くても十分に仕事ができるのです。
ハイブリッド勤務として週に1回は出社するような企業も出てきています。
フレックスによる時差出勤も推奨しているので、混雑する時間帯での通勤でなければ、それほど負担にはなりません。
郊外マンションの資産価値はこれから
郊外マンションとなると30年後となれば、売却するにも高く売れないことも多く、その点は都心のマンションのほうが値崩れしない傾向にあります。
しかし郊外マンションに人気が出てくると、人口も増えていき自然と周辺の街も活性化していきます。
スーパーマーケットや飲食店、各種ショップをはじめ、銀行ATMなどがそろう大型ショッピングセンターなども増えていけば、それほど大きな値下がりもしない可能性も出てきます。
環境面でも子どもを遊ばせる公園も豊富にあり、自然と共存できる贅沢な環境は、都心マンションにはない価値をもたらしてくれます。
サラリーマンが職住接近するための都心のマンションに住む必要がなくなることで、広くて豊かな生活ができるという新しい選択肢が出てきました。
コロナの第2波は避けられない中で、新しい生活様式に沿ったライフスタイルの変化は加速すると思います。
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