まっとうな不動産投資家は「1法人1物件」は選択しない

一物件一法人は選ばない

一物件一法人は選ばない

不動産投資のグレーなテクニックと言われている「1法人1物件」は、普通に不動産投資での実績のある人は、まず選択しない方法です。

 

「1法人1物件」は、別名で「複数法人スキーム」と称されています。「法人A社をつくって物件Aを買い、物件Bを購入するために、新たにに法人B社をつくる」という流れで物件と法人を一対一で対応させる手法です。

 

なぜ、このような方法がまかり通ったのか、それは「最速不動産投資家」のためのスキームだからです。早期リタイアを目指す人にとって非常に魅力的なスキームであり、一気に規模を拡大する必要がある人には実施するしかなかったのです。

 

中古物件の不動産投資をする会社の営業の方に話を聞くと、複数の不動産会社を使い分けて「1法人1物件」を増やしている人は多くいるということです。

 

こちらの不動産会社は正しく投資をしてほしいので、希望者に止めるように提案したので契約には至りませんでしたが、最速で不動産投資を実現する方は、「1法人1物件」手法をとれる会社を探しては物件を購入し続けているようでした。

 

最速での不動産投資の結果がでるためには最善の方法かもしれませんが、実際に行ってみるとデメリットも多くあります。

 

1.リスクが高い

「1法人1物件」のメリットは、銀行に借入金額がわからなくなることです。しかし意図的に隠したことがわかった場合、借入の一括返済を求められる可能性が非常に高いです。

 

物件を売って全額返済できればいいのですが、現状ではそんなことは不可能でしょう。そうなれば、破産するリスクが高まります。

 

2.運営コストがかかる

複数法人を持つということは、それなりの維持管理費がかかります。当然ながら個人で決算は難易度が高いため税理士に頼むしかありません。

 

このようなスキームを理解して対応できる税理士も限られているので、その割高の報酬を支払うことなります。

 

また法人事業税だけなく、法人住民税もかかります。本来払う必要のないコストを法人分支払わなければなりません。

 

1億円の中古物件で10%の表面利回りの物件であれば、売上は1,000万円とした場合、そのために法人化してもコストが先行してキャッシュフローが残らないと思います。

 

 

法人が必要でも1つで十分

不動産投資をするうえで、法人化した場合に税金が大幅に圧縮される可能性があるので、規模や条件によっては、設立したほうがいいと思います。ただし目的を明確にしないといけません。

 

キャッシュフローのため、多くの融資を獲得するためでは持続できません。しかしならが他の事業(物販業など)があるのであれば、法人化しても良いと思います。

 

不動産投資の税金対策だけで法人化はそれほどメリットはないと思います。また事業継承の面でも法人は有利とも言われていますが、実際に継ぐ人がいない場合の清算も大変と聞きます。

 

100戸以上の個数を持つサラリーマン大家さんでも個人で運営している方もいらっしゃいますので、必ずしも法人化がゴールではないのです。

 

これも昨今廃業している不動産投資コンサルティング会社が安易に導入を提案してきた結果かもしれません。まっとうな不動産投資家は「1法人1物件」は選択しないのです。