大晦日になり、大掃除や年賀状などでお正月の準備をしている家庭が多いのではないでしょうか。今年も無事に終わったことを感謝しつつ、来年に向けての抱負を準備したいと思います。
この時期になると活発に営業が開始する業界があります。それは「転職市場」です。ここ最近のメールは、各種セール以外に連絡がくるのが「転職」に関する案内メールです。
私も転職を2回経験しています。その際に情報収集などでお世話になった転職エージェントや求人サイトに登録していたままであり、条件に合わせた案内が頻繁に来ています。
転職をするには様々な理由があると思います。
- 年収を上げたい
- キャリアアップをしたい
- 未経験の仕事をしてみたい
- 職場が劣悪な環境を変えたい
- 起業をするために経験を積みたい
昔に比べれば「転職」するハードルは多いに下がりました。「転職は35歳まで」といった通説も今となってはありません。スキルのある人は「40代、50代」を過ぎてもチャレンジできる市場になっています。
すべての会社員に「セカンドチャンス」「サードチャンス」がある時代になったということです。
「起業する」「フリーランスになる」を早合点しない
さらにチャンスがあるからと言って「起業する」や「フリーランスになる」と行動を起こす方もいます。
「若いうちにしかできない」という考えで、勢いに任せて起業を始める人もいるかもしれませんが、今のサラリーマンの環境を放棄することになるので、早合点してはいけません。
私はIT系の会社にいるので「年収を上げたい」という一心で「営業、開発者、デザイナー」などを多くの職種で起業する人も多いのです。
特にインターネットサービスは投資するコストも限られており、参入障壁が低いため年代問わず起業する人が本当に多いです。
しかし「新規での仕事が受注」や「開発したサービスを軌道に乗せること」が難しく、結果元の会社の下請けような状態になり、会社員時代のほうが待遇がよかったと嘆く人をたくさん見てきました。
最終的には出戻りという形で戻ってきます。今、インターネット業界全体でも「出戻り」を歓迎する会社多いのですが、それも一回りして2〜3年でまた退職していく人も出始めてきています。
いずれにしてもサラリーマンの特権を活かさずに辞める人が多いのです。これは今の時代においてては非常にもったいないことです。
サラリーマンであることの特権
サラリーマンとして会社に勤めていると得られるメリットや保証されていることを気が付かない場合が多いです。
私も最初の会社を辞めたときに「失業保険」を得て生活をしていた時期があるのですが、想像以上にお金がかかりました。
最初の会社は給与が低かったのですが、それでもいかに恵まれた環境だったか思い知らされました。
社会保険が優遇される
最初に痛感したのは社会保険関連です。会社員は本当に優遇されています。
「社会保険」とは国による社会保障制度のひとつで、国民の生活の保障を目的とした公的な保険制度のことです。
「社会保険」には大きく医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つあります。
- 医療保険 … ケガや病気、出産など対する保障制度。
- 年金保険 … 老後の生活、障害などに対する保障制度。
- 介護保険 … 高齢者や老化で介護が必要な人に対する保障制度。
- 雇用保険 … 従業員の雇用の安定や促進を目的として作られた保険制度。
- 労災保険 … 業務中や通勤中の事故・災害によって生じた病気、ケガ、傷害などに対しての保障制度。
サラリーマンでないときに恩恵を感じるには「医療保険」です。会社員は 「健康保険」に加入し、フリーランスや自営業の方は 「国民健康保険」に加入します。
「健康保険」のメリットは大きく3つです。
- 被扶養者に対しての保険料はかからない
- 会社員の社会保険料は会社が半分持ってくれる
- 「傷病手当金」という制度も備わっている
これは「国民健康保険」とは異なり会社が折半してくれるのは非常に大きいです。家族持ちであれば、なおさら手厚い制度です。
年金保険も同じです。会社員であれば 「厚生年金」に加入し、フリーランスや自営業であれば 「国民年金」に加入します。医療保険と同じく半額は会社が負担してくれます。
年金は「2000万円足りない」という話が話題になりましたが、それでも終身お金を得る制度はありがたい内容です。しかも普段は気にかけることなくに会社が支払額の半分持ってくれているのは、支払いを忘れることもなく確実に受給することができます。
社会的に信用がある
転職をする前に上司から「今のうちに住宅ローンに入ったほうが良い」と言われたことがあります。
最初は何のことが理解できなかったのですが、会社に勤めていると「社会的信用」というものが付いてくるのです。
特に大手上場企業であれば「信用度」が高くなります。また勤続年数が長いほど有利に働きます。
あと「クレジットカード」も同じです。私も2社目はベンチャー企業に勤めました。しかし創立して間もない会社だったため「クレジットカード」が作れませんでした。
理由としてはベンチャー企業のためビジネスが安定していないということで、社会的信用がない判断されてしまったからです。
「お金を借りたくても借りれない」状態になることは非常に大きいです。「借金は悪だ」という考えもあります。
しかし「家を買う」や「会社の運転資金が必要」などの場合、フリーランスや起業して間もないときは「借りるのも大変」という状況になります。
福利厚生が充実している
会社員であれば、会社が保有しているまたは加盟している保養所を格安で利用したことはないでしょうか。
- 社宅
- 社員寮
- 家賃補助
- 食堂
- 食事補助
- 健康診断
- 各種保養施設
- 教育研修費
- テーマパークなどのレジャー施設の割引
普段の会社生活だけでないところでの恩恵を受けることができるのです。これがフリーランスであれば全額実費となります。
家族がいるサラリーマンであれば、保養施設などは非常にありがたい制度です。私もこの制度を知らない時期がありました。
家族4人で宿泊すると10万円以上かかる施設でも2万円程度で利用することができます。サービスも一般利用客と同じです。利用しない手はありません。年に2~3回は確実に利用します。
毎月給料が入る
会社員として当たり前すぎて忘れがちな恩恵は、毎月安定したお金が手に入るということです。
そして会社や個人の業績によっては「ボーナス」が入るということも大きなメリットです。
会社が安定しなければという前提でもありますが、フリーランスであれば、仕事の受注状況により収入は不安定になります。
先ほどの「社会的信用」にもつながる部分ではありますが、規則正しい生活をして会社に出勤し、目的に応じた働きがあると「給与」が入るということが恵まれていると理解しておいたほうが良いと思います。
サラリーマンという特権は最大限に利用するべき
また「働き方改革」の追い風もあり仕事に対する既成概念も無くなりつつあります。
「副業OK」「テレワーク推奨」「有給取得必須化」「週休3日」が大手企業を中心に導入を進めており、完全に「ホワイト企業化」を狙っています。
AIやロボットなど高度な仕事を中心に高い年収を条件に人材を確保しつつありますが、それもここ数年のトレンドで終わると思います。
むしろ年収が高くなくとも「ホワイト企業」を求める若者が増えます。 昔は「公務員」は安定していた職業として人気がありましたが、民間企業も同じ道を進む動きになると予想します。
日本企業を象徴する制度が二つありました。一つは年齢とともに給料があがる「年功序列」です。もう一つは「終身雇用」です。
たしかに「年功序列」的な発想は、実力主義に伴い減少していくと思いますが、「終身雇用」は年金受給年齢が上がるとともに、必須条件としていかなくてはいけません。
サラリーマンは恵まれていることを改めて理解しなくてはいけません。
そしてその特権を最大限に活かして「副業」を始めたり「プライベートを充実」したりして、ワークライフバランスを保つことが最適だと思います。
それでも満たされない何かがあるのであれば、サラリーマンを卒業して起業しても良いかなと思います。
間違っても「勢いでサラリーマンを辞める」ことは、今の時代は得策ではありません。