「働き方改革」ではサラリーマンに限らず、企業などの組織に属さない働き方も注目されています。いわゆる「フリーランス」と呼ばれる人々です。
「フリーランス」は本来であれば多くの発注者から仕事を自由に受けることができるはずなのに、特定の1社からの受注が仕事の大半を占める「名ばかりフリーランス」が増えているということです。
実に国内のフリーランスのうち4割がこうした働き方をしていると言われています。結果「仕事を選ぶ自由もない」「会社員としての保証もない」という理想とはかけ離れた状態であることが多いということです。
「フリーランス」とは
「フリーランス」とは一般的には「企業や組織に属さずに個人として仕事を請け負う人」とされています。
「在宅ワーク」やノマドワーカー」最近では「ギグワーカー」と呼ばれる人も仕事内容が請負業であれば同じカテゴリーになります。
自分の得意な分野を活かしたで個別に契約をして仕事をしていれば、誰でもフリーランスになることができます。
内閣府の2019年の推計によると、フリーランスは国内就業者の約5%にあたる306万~341万人程度とされています。
フリーランスを続けることが難しい理由
フリーランスは意思さえあれば誰でもできますが、誰もが向いているとは限りません。
フリーランスを「やってよい人」と「やってはいけない人」がいるのです。
特にフリーランスで仕事を続けるということは、起業して会社を始めるのと同じくらいの硬い意思と圧倒的なスキルを持っていなければ継続することは大変なのです。
- スキルが伸びない
- 営業活動をしなければならない
- 景気変動に弱い
- 50代以降のキャリアデザインが不透明
技術系、デザイン系の人はスキルがあれば、内容にもよりますが仕事はあります。しかし営業や管理なども自ら行わなくてはならないため、会社員以上のスキルが必要になるのです。
名ばかりフリーランスが4割という事実
さらにフリーランスの半数近くが特定の会社に専属的な契約になっているという事実があります。こうした人たちのことを仕事の大半を特定企業に依存する「名ばかりフリーランス」と呼ばれています。
勤めていた会社から独立をしてみたものの実際には、勤めていた会社の下請け状態になっていることはよくある話です。
そして名ばかりフリーランスの多くは取引先に対して弱い立場になっていることが問題になっています。
専属などの取り決めに違反した場合、「次回の契約更新がなされない」、「現在の契約が解除される」という不利な条件があり他社との契約がしにくいのです。
またちゃんとした契約をしていなければ報酬が支払われないなどのトラブルが起きても対抗できないというこもと多いと言います。
サラリーマンのような最低賃金や労働時間なども保証されず、働き方自体が不安定にならざるを得ないのです。
国も議論を重ねているが進展がない
厚生労働省は17年10月から取引先に対し弱い立場にあるフリーランスを守るために、報酬の基準を設けたり、企業が安全や健康を守る取り組みをしています。
しかし保護すべき対象の定義など定まらず、2年以上も議論が続いているのが現状のようです。
人生100年時代において「生涯現役」と考えるならば、国は副業・兼業やフリーランスなど、年齢にかかわらず個人の能力を生かして働き続けられる環境の整備を進めるべきですが、まだまだ時間がかかるのかもしれません。