キャッシュレス決済が世の中の買い物に改革を与え、各サービス運営会社の競争が激化していくなかでまさかの事態が起きてしまいました。
スマートフォン決済のオリガミがメルカリに事業を売却することになったのです。「オリガミ」はキャッシュレスサービスをいち早く展開した会社でIT業界でも注目をされていました。
スマートフォン決済の老舗であるOrigami(オリガミ)は1月23日、フリマアプリ大手メルカリのスマホ決済子会社であるメルペイに会社を丸ごと売却すると発表した。両社は売却価格を非公表としたが、複数の関係者は1株1円だったことを明らかにした。同社の株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円だったことになる。
引用:ダイアモンドオンライン
市場価値のあるIT企業としても注目されていた「オリガミ」がまさかの売却です。そして一番の衝撃は譲渡金額が「1株1円」であったということです。最先端のサービス企業であっても一気に凋落していく現実があるということを感じるニュースでした。
キャッシュレスサービスの難しさ
一般の方にはキャッシュレス決済といえば「Pay Pay」や「LINE Pay」をイメージするかと思います。しかしスマートフォンによるキャッシュレス決済サービスの草分けは「オリガミ」です。
しかしながら各社が同時に10%や20%といった還元サービスを展開しシェアを広げていき、一気に利用者が増えました。オリガミも追随をしたと思いますが金策が尽きてしまったということでしょうか。
元々「オリガミ」はインターネット企業としても市場価値のある将来が期待されていた数少ないユニコーン企業の一つです。
記事には、日本経済新聞社が発表した「NEXTユニコーン調査」では、オリガミの企業価値は417億円と算定されていると書かれていました。それだけ市場関係者やIT企業関係も注目していたことがうかがえます。
しかし先ほどの「1株1円」の評価となると、同社の株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円にしか売却価値にはならなかったということです。
同時にリストラも決行
オリガミは売却発表と同時に社内向けに大規模な人員削減策を公表している。
社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ策に踏み切るのです。通常、事業売却ともなると社員も一緒に動くイメージがありますが、譲渡先の「メルカリ」が縦に首を振らなかったということです。
そして「大半の社員は1月末が最終出社となり、2月末で退職になる」ということで、年明けで普通に働いていた社員にとっては寝耳に水な展開だったと思います。
話題性もあり業界も期待していた会社といえども、一瞬にして無くなってしまうリスクがあることを理解したおかなくてはいけません。
フィンテック・バブルの崩壊か
オリガミは事実上の経営破たんとなってしまいました。キャッシュレス決済は、ここ数年話題となっていた「フィンテック」の中心となるサービスの一つです。
- スマートペイメント(キャッシュレス決済)
- 仮想通貨
- クラウドファンディング
- 投資・資産運用・ロボアドバイザー
- ソーシャルレンディング
- 融資(レンディング)
- 法人向けサービス(確定申告など)
- 保険
- 金融情報メディア
- 送金、割り勘
- PFM(個人資産管理)
このサービス領域は、どこで聞いたことがあるのではないでしょうか。注目をされている領域なので多くの優秀な人材が集まってきます。
一時期のスマホを中心としたソーシャルゲームなども同じようにバブル的な感じで盛り上がり、多くのIT関連の社員が年収も好待遇で募集を掛けており、若い人が中心となって転職ブームがおきました。
たしかに多くの新規プレイヤーが参入してきたサービス領域ですので、自然淘汰が激しくなっていることは否めません。
「仮想通貨」は内容からしてバブル感がありました。しかしキャッシュレス決済は国も後押ししている分野です。ポイント還元も相当額の予算を使って展開をしているので、サービス事業者にとっては追い風のはずです。
しかし実際は利幅の少ない厳しい経営状況なのかもしれません。まさか「オリガミ」がここまで急展開するとは思ってもみませんでした。
まさにフィンテックバブル崩壊の始まりなのかもしれません。