人工知能(AI)で個人の信用力を数値化する「信用スコア」を使った個人向け融資の利用が広がりつつあります。「信用スコア」はまだ一般的には馴染みがない言葉ですが最新テクノロジーによる金融サービスであるフィンテック(FinTech)分野において注目されているキーワードです。
「信用スコア」を使った融資は、キャッシュレス決済が進む中国では一般的に利用されていて、信用スコアの点数を上げたい消費者や信用スコアの高い人を狙った詐欺事件が起きているほど過熱しています。
「信用スコア」のメリットは何でしょうか。また信用しても問題ないのでしょうか。
目次
「信用スコア」とは
「信用スコア」という言葉を知る前に「信用情報」ということを先に理解しておいたほうがわかりやすいです。「住宅ローン」など銀行など金融機関から借りたことのある人なら聞いたことがあると思います。
お金を借りたり、ローンを組んだり、クレジットカードを使ったりするときの情報は過去の履歴を含めて情報が集約されているのです。
加えて「お金を借りた」ことに対して期日までに「返済しているか」の情報も含まれています。これからのお金にまつわる情報を個人の評価として判断するのが「信用情報」です。
この「信用情報」が高くないとお金を優位に借りることができません。「信用情報」が高ければ高いほど、借りる際の金利や融資期間が優遇されます。
同じような名前である「信用スコア」は、お金の借入状況ではなく、学歴や職歴、年齢や性別、犯罪歴などさまざまな情報が集約され可視化されている情報になります。
先行している中国では信用スコアの高い人は信頼性の高い人と評価されるため、保証金が免除されたり、就職に有利 という話まで出てきているから驚きです。
「信用スコア」は、日本国内で徐々にサービスの提供が始まっています。算出されたスコアによってさまざまな優待サービスが受けられ、利用範囲はさらに拡張されると期待されています。
「信用スコア」の項目は
「信用スコア」の項目は「信用情報」のように共通するものではなく各サービス運営会社によって異なります。
- 年齢や学歴や職業
- 支払いの能力
- クレジットカードの返済履歴を含む信用履歴
- SNSなどでの交流関係
- 趣味嗜好や生活での行動
信用情報とは大きくことなるのでは「SNSなどでの交流関係」「趣味嗜好や生活での行動」など直接関係のないように思える情報も関連していることです。
これらの項目は従来の金融機関では数値化できない部分です。SNSやネットショッピングを展開している会社であれば「ビッグデータ」として保有しているので数値化できるので参入が加速すると思われます。
これらのビッグデータをAI(人工知能)技術がまとめてスコア化します。学歴や職歴、年齢や性別、犯罪歴などさまざまな情報が影響するとも言われていますが、各社とも算出方法は公表されていません。
「信用スコア」のメリットは
「信用スコア」とは、「個人の信用度合い」示すものです。履歴書以上のパーソナルでデータが含まれているので「本当に信用できる人なのか」ということを表しています。
ここまで詳細な個人情報を登録して良いメリットは何でしょうか。
- 信頼できる情報を可視化できる
- サービスで優遇を受けることはできる
信頼できる情報を可視化できる
「信用スコア」が分かっていれば数値化、グラフ化することにより、自分がどういう人なのか評価できます。実績やスキルだけではなく「道徳がある」「人格者である」といった評価が可視化されるのは今までにない試みです。
「信用スコア」が高い人は「さまざまな観点で優秀な人」と判断しやすくでたり、信用スコアが低いと「お金に無頓着で浪費癖がある」「信用できない」と評価されるようになっていきます。
サービスで優遇を受けることはできる
「信用スコア」が高い場合、従来の「信用情報」に加えた行動、嗜好も加味されるので信頼できる人だと判断されます。
すでに金融機関からの借り入れの際に金利優遇など優位になることができます。国内のサービスでは、みずほとソフトバンクが共同運営する「Jスコア」や「LINEスコア」のようにスマホで登録するだけで融資を受けることができるので話題になっています。
また中国では金利以外のさまざまなサービスで特典や優遇サービスを受けられます。
金融 | ・借入金額の増額 ・優遇金利 ・クレジットカードの年会費無料 ・各種カードのデポジット無料 |
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旅行 | ・プライベートツアーの招待 ・メンバー限定割引ツアー |
スポーツ | ・プライベートレッスン優待 ・最新ゴルフクラブの割引 |
食事 | ・レストラン優先予約 |
住まい | ・敷金礼金の免除や減額 |
「信用スコア」のデメリットは
やはり個人情報を運営会社に預けることは不安ではあります。「信用スコア」のデメリットは何があるでしょうか。
- 個人情報の漏洩リスクの不安がある
- 評価の不公平さが出てくる
- 社会的な差別化要因になってしまう
- 金利は消費者金融より低い場合がある
個人情報の漏洩リスクの不安がある
インターネットサービスは登録した情報に対して安心安全なのが基本ではありますが、情報漏洩リスクが完全に防げるとは限りません。
日本人はお金の情報を入れるだけでもハードルがあります。ましてや個人の活動などの行履歴も預けるとなると利用者が増えるのには時間がかかるかと思います。
評価の不公平さが出てくる
「信用スコア」は、ビッグデータをAIによる判定が基本の仕組みです。「機械的に判断される結果は受け入れるしかない」というデメリットもあります。
もし企業の面接などに利用されてしまえば「スキルを持っているのに信用スコアで面接に落ちた」という事例が発生する可能性があります。
「信用スコア」自体が不公平と感じるケースも多いようであれば、利用者が増えることが難しいのかもしれません。
社会的な差別化要因になってしまう
「信用スコア」は、ビッグデータをAIによる判定が基本の仕組みです。「機械的に判断される結果は受け入れるしかない」というデメリットもあります。
もし企業の面接などに利用されてしまえば「スキルを持っているのに信用スコアで面接に落ちた」という事例が発生する可能性があります。
「信用スコア」自体が不公平と感じるケースも多いようであれば、利用者が増えることが難しいのかもしれません。
金利は消費者金融より低い場合がある
スマホによる登録で手軽ではありますが、金利は消費者金融に借りるよりは優遇されている場合があるのでメリットがあります。
信用スコアを使う融資で特徴的なのは若い年齢であっても返済能力があると判断されれば、消費者金融よりも良い条件で借りることができることです。
「Jスコア」は利率が0.8~12%で、限度額は1000万円となっています。 18の質問と性格や価値観に関する150項目にアプリ上で答える方法でスコアによって金利や限度額が異なるのが特徴です。
「信用スコア」による融資は無理に利用しない
消費者金融を借りている人からすれば、便利なサービスが出来たと思います。
従来の信用情報だけでなく、普段の行動から金利が優遇されるから融資を受ける機会が増えます。
しかもこの「信用スコア」はリアルタイムに評価されるので、信頼できる行動をしていれば、より良い金利条件で借りることができるからです。
ただし「信用スコア」が高いからといって無理に利用することはないと思います。 従来の金融機関のほうが良い金利条件で借りる可能性もあります。
また中国のように虚偽の申告でわざと金利条件を良くして借りるのも絶対に禁物です。バレた場合はかえって「信用スコア」を落としかねません。
「自己投資」「教育ローン」など将来のためにお金を借りる機会が増えて良いこともありますが、無計画に生活費や浪費のために利用することは避けるべきだと思います。
まとめ
- 信用スコアは従来の信用情報異なる
- 中国では様々なサービス特典があり、就職にも影響がある
- 金利は消費者金融よりお得になる
- 虚偽申告は絶対にしてはいけない
- 信用スコアが高いから無理に借りる必要もない