2019年10月に社外兼業・副業を認める新人事制度を導入したみずほフィナンシャルグループ(FG)は、業界的にも大きな話題となりました。メガバンクによる副業解禁は初めてのことでした。
これまでの副業解禁はIT企業や一部のメーカー企業が導入できるイメージでした。どちらかというと厳格な金融業界でトップ企業が自ら導入するに踏み切ったことは、金融業界で働く人々にも希望が出たのではないかと思います。
これは金融界を取り巻く環境の中で避けられない状況を打破するための試みだったと思います。加えて今までにない人材を獲得する必要性が出てきているのです。
同社にとって今回の取り組みは、単なる人事制度の見直しにとどまらず、今後5年を見据えた経営戦略を支える施策のひとつであり、ITをはじめとする異業種との融合による新たな金融サービスの原動力として人材戦略を位置づける意味合いがある。
引用:ニュースイッチ
企業が「副業」で求めること
今の現役サラリーマンにおいて「副業」導入を否定する人は少ないと思います。そういう点では社員の満足度には貢献できているのだと思います。
しかし企業は社員の満足度を高めるために、会社に継続して所属してもらうために「副業」導入を入れているわけではありません。
- 「閉じた社内での競争原理」からの脱却
- 「社員の成長ややりたい仕事」を推進
- 「社内外で通用する人材バリュー」の
副業は、基本的には就業時間外に社員自らが起業・自営により業を営むことを認めています。また「自社のビジネスと競合しない」「情報管理上の問題がない」かなどの事前チェックを行うことが前提になっています。
みずほ銀行で副業を開始している実例は
いろいろな制約はあるもののお堅いイメージのメガバンクが副業を始めることは興味深いことです。予想以上の行員からの反響があったとのことですが、実際にはどのような事例が出てるのでしょうか。
実際には1件がスタートしているようですが、副業については幅広い年代から約120件の申請があり、7割が承認済みとのことです。
- 20代のベンチャー企業に出向して新規株式公開(IPO)準備
- 50代後半のシニア社員が人材コンサルティング会社で週1日勤務
- スポーツの審判員
- プログラミング
銀行の業務上での知識を活かす専門的な内容だけでなく、趣味や実益を兼ねたものまで存在していることは面白い傾向だと思います。
タイトル
どうしてメガバンクが副業導入を踏み切ることができたのでしょうか。
みずほ銀行の人事担当の言葉が非常に明快な理由でした。
「社外兼業や副業解禁をきっかけに人材が流出するリスクと、逆にこれを認めず社員を社内に縛り付けることで、有能な人材が獲得できなくなる、あるいはそうしたがんじがらめの環境を嫌って社員が退職していくリスクー。どちらが大きいかをてんびんにかけた場合、結論は明白でした」
企業イメージアップをはかるパフォーマンスではないことが明らかです。他の金融機関が副業解禁に追随しないことを考えると、いかに英断をしたかが伺えます。
人生100年時代において一つの会社に縛れる生き方は向いていないのかもしれません。生涯現役を目指すのであれば常に自身をスキルアップする必要があります。
みずほ銀行の考え方が多くの一般企業に浸透するには時間がかかるかもしれません。
しかし国内でも海外からの勤労者なども増えて個人スキルの競争が激化することを考えると、今までの常識とは異なる働き方を受け入れる企業が生き残っていくのだと思います。
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