不動産投資の目的は「節税」や「生命保険」ではない

不動産投資は「節税」や「生命保険」ではない

不動産投資に関して、金融業界も少しづつですが正常化しているような感じがします。不動産物件の売れ行きや銀行の融資条件などが昨年と比べて良い方向に動いているのではないかと思います。

 

もっとも3~4年前のサラリーマンによる不動産投資ブームのような盛り上がりはありません。不動産会社から話を聞くとより堅実な資産価値のある物件は確実に流通しているとのことです。

 

それでも投資用の不動産物件を購入するときには注意が必要です。本来の目的に合致しない内容で売り抜けようと考えている不動産会社が後を絶ちません。

 

不動産投資の目的は「賃貸収入」と「売却益」

「不動産投資」の目的は何かと考えた時に、まずは不動産投資はどんな投資なのかを改めて理解しておくべきです。

不動産投資とは

不動産投資とは、利益を得る目的でマンションやアパートなどの不動産に投資をすることで、利益を得る方法は2つです。

1)購入した物件を入居希望者に貸して賃貸収入を得ること
2)購入した物件が購入価格よりも値上がりしたときに売却して、売却益を得ること

この基本を理解しておかないと購入してはいけません。逆に「賃貸収入が得られない」「売却益が得られない」のは不動産投資が成功したとはいえない ということになります。

 

特に「賃貸収入」はサラリーマンからみれば「不労所得」の代表例として憧れのキーワードです。その先には「リタイア」というライフスタイルを獲得できるかもしれないのです。

 

そしてこの不労所得を得るために、不動産投資の勉強をしたり、購入資金を貯める努力をして「賃貸収入」と「売却益」が期待できる不動産を購入するのです。

 

副産物メインの不動産投資の存在

「不動産投資」だからといって、どんなアパートやマンションを購入しても問題ないというわけではありません。「賃貸収入」と「売却益」が期待できない不動産物件が大半です。

 

それでは不動産会社は売るものがなくなってしまうので、仕事として成り立ちません。

 

そのような投資に値しない不動産物件の契約を結ぶことができるのは「賃貸収入」と「売却益」以外の副産物をメインにした営業行為をしているからです。

 

不動産投資の副産物とは下記のようなセールスポイントです。

不動産投資の副産物
  • 節税ができる
  • 生命保険代わりになる
  • 消費税還付ができる

当然ながらこのポイントがあるので「不動産投資が良い」という評価もできますが、本来の目的である「賃貸収入」と「売却益」ではない副産物であることを理解しておかなくてはいけません。

副産物メインの不動産投資は危険

家賃収入や利回りの説明はそこそこにして「副産物」をメインにした不動産の提案は「不動産投資」ではありません。

節税ができる

節税ができるというのは間違ってはいません。特に年収が高い人には効果があるポイントです。

 

年収の高い人は毎年多くの税金を払っています。そこで不動産投資で収益の赤字を出すことで、税金還付を実現できるのです。

 

年収が高くないサラリーマンは、購入した初年度は家賃収入があったとしても購入する際の経費などで赤字になります。そのような状態で確定申告をすると源泉徴収額を上限として還付されるのです。

 

また所得が低下すると翌年の住民税が安くなりますので、結果「家賃収入」以外でのお金の恩恵を受けることができるのです。

 

しかしこれは毎年持続できるものではありません。毎年赤字にするためには、それなりの専門的なテクニックとして不動産の追加購入などが必要となります。

 

生命保険代わりになる

不動産投資を行うと、加入している生命保険が不要になる場合があります。これも不動産投資のメリットの一つと言えます。

 

住宅ローンを組んでいる人であれば不動産を購入するときには「団体信用生命保険」に入っていると思います。いわゆる「団信」と呼ばれるものです。

 

「団信」とは、万が一自分が返せなくなったときに、借金を全額返済してくれるというものです。借金が全額なくなるということです。

 

しかも投資用不動産は、居住用の不動産とは異なり「賃貸収入」があります。残された家族には不動産を得ることと同時に月々の家賃が入るのです。

 

消費税還付ができる

「消費税還付」は土地を仕入れてアパートを新築した場合にできるテクニックです。建物の建築費又は購入費用にかかる消費税を還付できる仕組みです。

 

普段の買い物でキャッシュバックキャンペーンなどで消費税が還付されても数十円程度、多くても数百円という感じかと思います。

 

しかし不動産の建築費用は高額です。建築費が5000万円でも税率10%であれば500万円も戻ってくる計算になります。お金が戻ってくるとわかっているのであれば、頭金の一部が賄えるので非常に魅力的なポイントです。

 

賃貸アパートの建物にかかる消費税の還付を受けるためには、所定の手続きや対策を施さないといけません。専門の税理士に依頼することが必要になる場合があるので、その成果報酬にコストもかかります。  

 

特に今年の税制大綱で「消費税還付」が封じられたとの報道もでていますので、現時点はリスクがある手法になっています。

 

本来の目的ではない「不動産投資」は絶対にしてはいけない

繰り返しになりますが不動産投資の目的の大前提は「賃貸収入」と「売却益」です。これを見失ってはいけません。

 

それでも不動産会社は「賃貸収入」はそこそこに「副産物」をメインに提案をしてくる場合は要注意です。「不動産投資」としては成り立っていません。

 

中には富裕層の方で不動産投資は「節税」メインという方もいるかもしれません。しかしそれはレアケースです。サラリーマンが不動産投資をする目的は「お金を得る」ことです。

 

特に初めて不動産投資をするサラリーマンは「節税」や「生命保険」で妙に納得してしまい、不動産投資をすることが絶対にしてはいけません。

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