「1法人1物件」は続けられるのか

一物件一法人の対策

年明け早々ですが「1法人1物件スキーム」に対して、一部の金融機関が融資先の調査が始まっているらしいとの噂です。最悪のケースとして民事訴訟になる可能性があります。

 

不動産投資を短期間で拡大する方法として、一部の投資家で流行りました。「1法人1物件スキーム」の仕組み自体はシンプルです。物件を購入する度に新しく法人を作り、その法人で借り入れをするというもので「1法人1物件一銀行」とも言われています。

 

一物件ごとに法人で借入をすると、借入の名義が個人ではなく法人となります。本来の借主である個人の与信枠を使わずに投資を進めることができるのです。

 

しかし最近の金融機関の融資条件が厳しくなって来ている影響か既存の契約者への抜き打ち調査も始まっているようです。

 

そのひとつに「1法人1物件」のスキームが標的にされている可能性があります。不動産仲介会社や不動産投資コンサルティング系会社もスキームは提案していても、発覚後の対策フォローまでは対応していないかと思います。

 

一方で「銀行からも他法人の借入に関して聞かれていないから大丈夫」と平然と構えている方もいます。しかし「バレなきゃ良い」という発想はすでにグレーなスキームを認めていることになります。

 

融資期間の何十年もある中で、いつ指摘が入らないか緊張しながら過ごすのは健全ではありません。

 

もし指摘が入れば法人の連帯保証人( 実質上の借主 )が他法人にて借入をしている場合、信用不安の評価になる可能性があります。その際は銀行は借主に追加担保を求めることができるようです。

 

「1法人1物件」は、経営者の連帯保証債務の度合いにより指摘されやすいようです。もし対応を求められたりした場合は、物件全てを引き受けてくれる銀行に借り換えること考えられますが、今の融資状況では厳しいかと思います。

 

そうなると売却の道しかなく、購入時より高く売れなければ負債だけが残ることになります。フルローンやオーバーローンで購入していたとなると多額の借金が発生するリスクもあります。

 

不動産投資の関係者内の調整により出来上がった絶好のスキームだったかもしれませんが、オーナーとなる人がリスクと背中合わせになるのはいかがなものでしょうか。時間をかけてでも安心して堅実な不動産投資をすることが最優先だと思います。