法人での不動産投資のよる家賃収入は自由に使えるお金ではない

法人化したサラリーマン

不動産投資を行っていく上で、家賃収入が給与所得より遥かに増える場合があります。

 

会社からもらっている給与所得に加えて、不動産の家賃収入による不動産取得が合算された状態で税金が課せられます。

 

累進課税という方式で所得金額に応じて5%から45%の税率がかかります。

 

特に給与所得が2000万円以上かかる方が高い人は累進課税により税金が高いのです。それに加えて不動産所得も加わると個人所得が増えるため相当額を納税しなくてはいけません。

不動産投資での法人化で経費の利用範囲が増える

この状況を回避する一つの方法として「法人化」による不動産経営を行います。

 

ある時期では「不動産投資」と「法人化」がセットになっていたくらいに初心者でも利用できたスキームとして流行しました。

 

法人化する理由としては、個人と法人ではかかる税金の種類が異なることを利用した節税対応です。

 

個人に対しては不動産投資を行う際に所得税と住民税のみがかかります。

 

しかし法人には物件の規模に関係なく法人税・法人住民税・法人事業税がかかります。

 

所得税に関しては、個人で得た不動産所得は「総合課税」対象となり最大で45%になります。

 

しかし法人に対する法人税等は中小法人では利益が800万円以上の場合、普通法人では利益に関わらず原則一律で約33%です。

 

800万円以上は所得の金額です。売上に対して経費などを差し引いた金額が課税の対象になるのです。

 

法人の場合は会社経営にかかわる「経費」を利用することで利用範囲が広く、様々な経費を扱うのことができるのです。

 

過度な経費はしてはいけない

最近、話題になりました芸能人による脱税行為の一つに過剰な経費計上が問題となりました。

 

おそらく私的に使われたであろう「衣服代」やプライベートでの「旅行費」などを計上されていたと報道されています。(そもそも確定申告をしていないので実際はどうなっているのか定かではありません)

 

事務所の先輩方の情報で「何でも使える」という話から、過剰に経費として計上していたのだと思います。

 

理由はさておきですが「法人で稼いだお金は、基本は法人でしか使ってはいけない」という原則があります。

 

今回の報道で明らかになった芸能人による過度な経費計上は、国税庁から私的利用として指摘されても仕方がありません。

 

不動産投資の法人化はコストがかかる

「経費計上による節税」という点以外にも法人にするメリットが多くあります。

 

不動産投資に限ってはグレースキームとの指摘もある「一法人一物件」による融資や「消費税還付」などで一般のサラリーマンでも多額のお金を扱うことができるようなります。

 

しかしこの一時のお金の動きが欲しいがために法人化することがお勧めはしません。

 

法人化は基本事業を継続していかなくてはいけません。短期的なお金の流れのために利用するのはよろしくないと思います。

 

法人設立は無料では設立できません。登録免許税などの費用が20万円~30万円程度のコストが必要になります。

 

意外と知られていないのですが、自動車保険等の保険料、銀行等の振込手数料等が「個人」より割高になっているのです。

法人化のメリットしか聞いていないサラリーマン投資家

また法人化すると税務署の税務調査の対象になりやすいとも言われています。

 

調査に備えて会計処理を適切に実施できるようにしておくためには税理士との契約が必要です。税務調査対策のために税理士のコストは高くなります。

 

しかも「お金」は自由に使えるわけではありません。それでもサラリーマンが法人化する動きが後を絶ちません。

 

それは不動産投資が初心者であるサラリーマンは「法人化のメリット」しか教えてもらっていないからだと思います。

 

法人が一度設立すれば、いざ辞めたくて廃業をするにも設立以上のコストと時間がかかるのです。

 

目先のことだけを考えて法人を設立するのはいかがなものかと思います。

 

長期的な視点でなければ「法人化」は意味がありません。