東京の都心には「コンパクトマンション」という新築マンションのカテゴリーが存在します。
ファミリータイプのような家族住まいを想定した広さがあるわけでもなく、ワンルームのような設備だけは整っているが居住空間が狭すぎることではないタイプです。
コンパクトマンションとは
コンパクトマンションは、リーマンショック後に出てきたかカテゴリーです。下記のような従来の分譲マンションにはなかったタイプの仕様です。
- 専有面積は50~60平方メートル台
- 単身者または二人暮らしを想定
- 設備は新築マンションと同じ
都内でも新築マンションを建設するにも土地が高くなり、コンパクトマンションをさらに細分化する形で専有面積をさらに狭めるようなものが出てきました。
最近では大手の財閥系であるマンションデベロッパーからも販売が増えてきました。
不動産ビジネス的にはタワーマンションと同じくらい旨味があるカテゴリーなのだと思われます。
最近のコンパクトマンションの実情
最近のコンパクトマンションは、専有面積は30~25平方メートルでほぼワンルームマンションと同じです。
キッチンとトイレ、浴室は通常のファミリータイプと同じ仕様なのでスペースが必要になります。
実質的な生活空間は9~10畳程度のものです。ベッドを置いてしまえば、ほとんどスペースがありません。
それでいて都内の一等地であれば3~4千万円は下らない強気な価格設定です。
居住用に購入するにはロケーション以外にはメリットがありません。海外の富裕層を含めて投資用に割り切って購入するようなタイプです。
コロナ禍によるテレワークで一変
このようなコンパクトマンションでも今回のコロナ禍で価値が揺らぎ始めています。
今回のコロナ禍においてテレワークが一般的になったことで影響が大きく出ています。
コンパクトマンションを購入して住むくらいなので、それなりの年収が必要です。
属性的には都内の大企業や外資系企業に勤務している人かと想像できます。
そのような好待遇の企業に勤めているのであれば、テレワークを導入している企業かと思われます。
テレワークも部屋面積が限られた空間で長時間過ごすことに、息苦しさを感じた人も少ないと思います。
オフィスに出て仕事をするほうが快適と思っている人も多いと思います。
コロナ禍が収束しても、テレワークを開始した企業は継続する傾向になっています。
出社することが少なくなれば、都心の10畳程度のコンパクトマンションで過ごすほうがストレスを感じます。
コンパクトマンションは住むに値しない
テレワークが加速すると職住近接のメリットがないため、ロケーションを重視しなくてもよくなります。
そうなるとロケーションメリットが大きいコンパクトマンションに住む理由がありません。
自分が住まないのであれば「部屋を貸せば良い」と思いますが、購入時の住宅ローンの返済金額以上が必要です。
しかしロケーションメリットがないのに高い家賃を払ってまで住む人がいるとは思えません。
売却するにしても購入者が投資目的でない限りは難しいと思います。
投資目的でも融資がつかなければ購入できません。不動産投資用の融資は、余程の金融資産があるか、投資実績がない限りは厳しい状況です。
このような状況が長期化すると残念ながらコンパクトマンションを購入するに値しない不動産になっていきます。