大和ハウス、違反物件数が合計3975棟
大和ハウス工業は昨日の記者会見にて、国内の賃貸アパートや戸建て住宅で建築基準法違反があった問題で、新たに1885棟で違反が見つかったと発表しました。
5月までに違反物件は20190棟と発表し速やかに対応をしていましたが、お粗末なことにデータの抽出漏れがあったということです。
新たに発覚したのは建物の基礎部分で国に届け出た方法と異なる設計や工事をしていた建物が対象となり、違反建築は合計で39都道府県の3975棟(約1万2千世帯)となりました。
レオパレスほどの数ではないにしろ、東証一部上場企業による不祥事には変わりません。大和ハウスのような業界最大手でも杜撰な管理状況です。本当に安心な住宅はあるのか疑いたくなります。
アパートは620棟が不適合 うち愛知県が121棟
2019年4月12日に発表した際には、共同住宅(アパート)に限っては990 棟の対象でした。2001年3 月10日から2015年9月30日までの対象期間で再調査をしたところ、新たに620棟が判明したとなっています。
都道府県の内訳としては、公式ホームページに公表されていました。上位の数値を並べてみますと以下のようになります。※カッコ内は4月12日発表分です。
愛知県 | 121(530) |
富山県 | 51(121) |
兵庫県 | 45(24) |
青森県 | 36(15) |
新潟県 | 35(28) |
戸建てを含めて愛知県が907棟とダントツに多く全体の22%を占めています。当時の現場では何が起こっていたのでしょうか。
大和ハウスが建築した戸建住宅・賃貸共同住宅の物件数は、約 25 万棟とされていますが、建築棟数が多すぎるので2001年以前の建築物件を調査したほうが良いのではないかと思います。
今回の違法建築が増加したことに対しては弁解の余地がなく疑われても仕方がありません。
違法建築は経営層も知っていた内容か
前回の不祥事発表は内部通報による発覚です。
違反には約170人の設計者が関わっており、国の認定を得る前に誤って新しい設計、工事をしてしまったという事実から法令順守が機能していなかったということです。
今回の追加の理由が「お客様物件管理システム」より不適合の対象物件を抽出する際、データ抽出の設定方法に不備があり、対象物件に漏れていた物件があったとしています。
さすがに経営層は知っていたのではないかと思います。レオパレスも同じですが現場の判断でできるものではないかと思われます。
法令順守や品質保証を推進する社長直轄の部署を10月にも設置すると発表していますが、まずは後手に回ってきた企業統治を猛省すべき事態だと思います。
4度目の不適切施工の発覚
不祥事が相次ぐ背景にあるのが、急成長によるものだと考えられます。
不動産投資ではスルガ銀行やTATERUも同じく、業績を拡張するために過剰なノルマが背景に不正が横行した原因の一つだと思います。
同業者のレオパレスもしかりです。施工不良など安心安全が基本の住宅においてあってはいけないことだと思います。
大和ハウス工業は創業者の石橋信夫氏が「創業100周年に売上高10兆円の夢」 と宣言したことでも有名で体育会系の社風を持った会社です。
19年3月期に連結売上高が初めて4兆円を突破しています。これは10年前の2倍以上に拡大したことになります。
事業の最初であった住宅に加え、海外展開を含め規模急拡大に邁進し急成長をとげました。
もはや全体のコンプライアンスが追いつかないスピードで拡大していったと思われます。
そしての今回の住宅事業での不適切施工の発覚は14年以降で4度目になります。
社内風土が不祥事の遠因になった可能性について、芳井敬一社長は「それはないと断言できる」と説明しましたが、数字が全てを語っていると思います。