とうとう消費税還付が封じられる現実
不動産投資の各種節税の方法に対して、政府・与党は企業や個人による行き過ぎた節税策封じを進めると発表しました。
今回の政府では賃貸アパートの大家の間で広がっている消費税に絡んだ節税策も封じる方針です。その代表的なスキームが「消費税還付」と呼ばれる手法です。
「消費税還付」に関しては毎年のように対策が講じられてきましたが、「いたちごっこ」のように専門の知識のある税理士などを通じて実施されていました。
今回の発表では投資用アパートによる「消費税還付」に関する手法を具体的に言及していますので、本腰を入れてきたのではないかと思います。
投資用アパートによる「消費税還付」とは
家賃には消費税がかからないためアパートを経営する大家は通常、消費税の納税が必要ありません。
しかし大家にとって仕入れにあたるアパートの建築工事費などで消費税がかかります。
そこで、消費税がかかる商品を仕入れて転売する取引を繰り返し、家賃収入をはるかに上回る売上高を作り出すのです。
そうすることで大家が本業ではなくなるように見せかけます。消費税のルールによって、アパート建築時に払った消費税も控除対象になるという仕組みです。
消費税がかかる商品として手軽に注目されていたのが「金取引」です。数回のやりとりで売上高をかさ上げすることが可能です。
実際のビジネスと考えた時に取引だけで売上を作ること自体がグレースキームになっています。
しかし「不動産会社」「税理士」「金取扱業者」(場合によっては「金融期間」)がそれぞれ連携しないとできない方法です。
政府も当然ながら、本来認められない「税の還付」と認識しているので完全に封じこめる手段にでたのだと思います。
「消費税増税」の影響で発表することになった
アパートローンをめぐってはスルガ銀行など不動産投資に特化した金融機関が不正な融資を繰り返していた問題が昨年より続いていました。
今回は融資後の話になりますが、不正な税還付なども抜け穴には厳しく対応する方針を固めてきました。
一連の不動産投資のグレースキームを止める動きが強くなってきています。
また何故この時期に発表したかという理由の一つに10月の消費税増税」が影響しています。
節税封じについては、複数の財務省幹部は「消費増税後のタイミングを意図したわけではない」と話しをしています。
ただし先々月の消費増税を受けて税の公平性に対する国民の意識が高まっていることが大きいと思います。
一般的には知られていない「消費税還付」
消費税還付は不動産投資の少しでも知識のある方であれば、よく知られているスキームです。
「消費税還付」専門の税理士さんもいるくらいのサービスとして成立しています。セミナーなどで「まだできる消費税還付」的な内容は参加者が多く集まります。
私も興味本意で同様のセミナーに参加したことがありますが、配布される資料には肝心な部分が記載されておらず、口頭での説明でした。
それでけ証拠には残せないグレースキームだと思います。
少しでも現金を残して次の投資に活かしたい大家の気持ちもありますが、リスクとそれなりの時間がかかります。
しかし一般的には昨年のスルガ銀行の不正融資と同じく事件になって初めて知る内容だと思います。
完全な違法行為とは決めつけにくい部分ではありますが、メディアが取り上げてしまえば「消費税」に過敏になっている一般人から非難を浴びることでしょう。
何度も繰り返された「消費税還付」の攻防に終止符が打たれるのかもしれません。
そうなるとまたしても「不動産投資」に逆風が続く可能性が高いです。