「TATERU」の下方修正となった決算発表から一週間以上経過しましたが、数値をを改めてみると実に悲惨な状況になっています。
2018年8月にTATERUの従業員が、提携金融機関の一つであった「西京銀行」への融資関連書類を改ざんしていたことが発覚したことにより、業務の主力であるアパートメント事業の受注が大幅に悪化し、日建新聞の報道では「引き渡し棟数が約720棟と当初計画より2割減る」とされていました。
し今年の4月~6月期にで成約した255件のうち、半分以上の133件が契約取り消しになったと発表されています。新規でのアパートメント事業の成約は、2018年12月期2Q(4-6月)は255件でしたが、事件発覚後の3Q(7-9月)は45件に減少に陥っています。
引用:TATERU2018年度3Q決算発表資料
上記が成約を表すグラフになりますが、およそ上場企業では考えられない進捗経過を示しています。株式公開することにより潤沢な資金を集めることができますが、逆にこのような数値を公開しなくてはいけない責任もあります。非常にショッキングな結果と思います。
おそらく不正発覚をした9月以降は新規での受注もないのではないでしょうか。頼みの綱であった西京銀行の融資を断たれることにより、他の金融機関もリスクのあるアパート投資には、積極的にはなれず、今まで融資ができた属性の方への成立もできなくなったと予想されます。
申込金分を放棄して損をしてでもキャンセルしたオーナーの苦渋の判断が想像されます。ある情報では、このキャンセルにも専門の弁護士を通じて対応しているということなので、今後も引き渡し前にキャンセルする方が増えていくのではないでしょうか。
また次の事業の柱でもあった「TATERU Funding」による新規ファンド中止になっており、新規での業務がほぼ停止状態で事態の収束に向かうべく奔走していると思われます。懸念すべき点は、キャンセルをしたアパートをTATERUが在庫として抱える必要が出てくると思われます。
土地の仕入れ費用から建築業者への支払いなどは、オーナーの融資が確保することで成立していたのですが、それもこの大量キャンセルにより実行できなくなります。上場企業の立場もあるので未払いというわけにはいかず、手持ちの現金で対応していくしかありません。
人気のあるアパート会社の物件は一般市場に流通する前に企画段階で売買が成約することがほとんどで、新規のアパートが一般の不動産サイトなには掲載されてることはありません。すでにレインズには福岡地方のTATERUのアパートが流通し始めているという噂も聞きます。
すぐには考えにくいですが、融資も出ずに売り先のないアパート在庫を抱えるとなると資金繰りがショートして事業が継続できなくなる可能性があります。そのなるとアパート会社による不動産投資領域には大打撃となりかねません。
一部の従業員による不正と発表していますが、実態調査も時間が掛かっていることから事業が根本的に問題になっている可能性が高いです。いまだに社長がメディアなどでの公の場に出てくることがありません。全貌を明らかにして最悪の事態にならないことを願います。