サラリーマンが「法人化」による「過度な経費」で脱税する危険性

サラリーマンが「法人化」による「過度な経費」で脱税する危険性

一昨日は二つの脱税事件が話題になりました。一つは人気芸能人であるチュートリアルの徳井義実氏、もう一つは不動産投資関連会社ですでに事業を停止している「わひこ」の実質的経営者であった金井和彦容疑者です。

 

「納税」を避けるための脱税行為をしたことで東京国税局から指摘を受け、金井和彦にいたっては、東京地検特捜部により逮捕されました。偶然かもしれなないですが両者ともに1億2千万円の脱税行為があったとされています。

 

徳井氏は「3年間申告していない」「2,000万円」の所得隠していた」という指摘とされています。今回は一番思い罰金とされる「重加算税」が課税されたことで国税庁としても「悪質な行為」であったと思われます。

 

個人事業主でも「法人化」できる

芸能人が法人化することはよくある話です。昔は長者番付のような形で高額納税者が発表されていました。

 

毎年、人気のある活躍されている芸能人、タレントが上位になる傾向があり話題の一つとなっていました。

 

明らかに人気のある芸能人が上位に出てこなくなりましたが、大半は法人化して納税額を抑えていたとされています。

 

個人で納税するより法人のほうが課税率が低く節税になるというメリットを活かして、個人事業主でも法人化することがあります。

 

今回の徳井義実氏の会社は実質一人の会社で経理もいない体制でしたが、制度的には問題ありません。

 

節税のための法人設立といえば、富裕層だけの話だと思われるかもしれませんが、サラリーマンでも設立することはできます。

 

特に不動産投資をされる方で不動産経営上「法人」で購入するべきか「個人」で購入するべきかは判断に迷うポイントの一つです。

 

法人の実効税率で節税する

法人税率は下がり、個人の所得税率は上がる傾向にあります。サラリーマンが個人のまま不動産投資をすると、課税所得が大きくなって税率が上がるため、思ったように手取り額が増えない可能性があります。

 

サラリーマンの給与所得は個人になるため、累進課税合わせると4,000万円超となると、所得税と住民税を合わせて55%の税率がかかることになります。

 

第一線で活躍するプロ野球選手などは、収入の半分以上が税金で持っていかれる計算になります。

 

それに対して、法人税の実効税率は所得が800万円超であれば約35%、800万円以下であれば約25%となり優遇されます。

 

また法人の所得とは、利益のことを指しますので、実際の売上に対して経費を引いた金額になるのです。

 

1億円の収入(売上)があったとしても、9500万円の経費があれば計算上では500万円の所得になります。

 

この点を活かすのであれば、収入がある方であれば法人の方が税率は低く有利となります。

 

徳井氏も税金対策をするのに法人化するまでは良かったのですが、全く申告していないとなると意図的な悪質な対応と思われても仕方がありません。

 

短期に売却で節税する

不動産投資を進める上で売却をする場合があります。その際の売却益が出ると譲渡税がかかります。

 

個人の場合は、1月1日時点で所有期間が5年以内の場合の短期譲渡だと税率約39%となります。内訳は「所得税30%」と「住民税9%」です。

 

また5年超の長期譲渡扱いになり約20%になります。こちらの内訳は「所得税15%」と「住民税5%」に加えて「別途復興特別所得税」になります。

 

しかし法人の場合は所有期間の長短の区分がありません。譲渡税が30%前後の税率となります。5年を超えて長期に保有するのであれば、法人より個人のほうが有利になります。

 

法人のほうが経費を幅広く計上できる

また個人で不動産投資をする際に、所有不動産が事業的規模(10室など)になれば、青色申告が申請できます。そうなると不動産所得に関わった経費を利用することができます。

 

さらに法人で不動産投資を行えば、さまざまな出費が物件の管理・運営のための必要経費として計上できるのです。

 

交際費、出張費なども幅広く利用することができるようになります。

 

また家族への給与を役員報酬として計上することができることも大きいです。

 

この方法をうまく利用すれば、本人や世帯全体での所得税・住民税の節税をすることも可能になります。

「過度な経費」はいけない

今回の脱税問題では、個人的利用したと思われる経費を過度に計上していたことも問題視されています。

 

旅行や衣装代といったものは、職業によっては必要経費とみられてる場合があるかもしれませんが金額が数千万円単位と大きいことも話題になりました。

 

一般のサラリーマンからすれば「そこまで経費扱いにできるのか」と思ったかたも多いのではないかと思います。

 

法人化すると何でも経費化できるように見えますが、過度な利用が禁物です。目的に合わないものは税務署からも指摘されます。

 

有名不動産投資家の方が「海外旅行に行きました」「高級車購入しました」と豪勢な生活をSNSなどで発信している場合がありますが、証拠にもなり得るので注意した方が良いと思います。

 

法人化自体は不動産投資をされている方であれば一度は悩む選択肢です。これから不動産投資を始める初心者でも、最初から法人化を検討したほうが良いと言われるくらいです。

 

物件購入での融資を受けるための「一物件一法人」はリスクが高いですが、節税目的で行う法人自体が問題ありません。

 

しかし、法人化することによる過度な利用は禁物です。

 

目的を見失って「欲」が止まらくなってしまい脱税に手を染めて「重加算税」が追加されるようになれば本末転倒です。