中古アパートへの不動産投資が厳しくなる理由
中古アパートでの不動産投資は、キャッシュフローが出やすいという理由から始める方も多いと思います。
しかし、ここ最近の融資状況を見ると中古アパートで始めることが困難になってきました。
中古アパートで不動産投資をするために積極的だった銀行が方針を変えてきたからです。
築年数のがある物件にも高金利ながら長期間の融資を提供してきた「スルガ銀行」「静岡銀行」は新築ないし築浅を条件に変更してきました。
西武信用金庫も不動産投資への融資は業務改善命令によりほぼ出来ない状態だと思われます。
確かに情報を収集していた不動産会社からの提案メールも中古アパートが減少し始めた印象があります。
逆に今までにはなかった建売の新築アパートの提案が増えてきていますが、利回り的にも収支が良くないものばかりです。
中古アパートに融資ができる銀行はあるのか
それでは中古アパートがもう融資できないかということになりますが、ノンバンク系の銀行はこのタイミングではまだ停止はしていないようです。
ノンバンク系の有力銀行は「三井住友トラスト・ローン&ファイナンス〈略称:三井住友トラストL&F〉」です。三井住友信託銀行グループの不動産総合金融会社です。
アパートローンは以前より積極的な銀行です。同じくノンバンク系のオリックス銀行が「新築、築浅」に特化していましたが、「三井住友トラストL&F」は築古のアパートでも融資可能な傾向があります。
三井住友トラストL&Fのアパートローンの特徴
金利 | 変動金利 3.9%〜 |
融資期間 | 35年以内 |
融資限度額 | 3億円 |
連帯保証人 | 原則不要。 ただし、審査結果によっては必要 |
団体信用生命保険 | あり(加入必要) |
対象 | 新築、中古 |
築古アパートで積極的な不動産投資家の方が、使い勝手のよい金融機関として推奨していました。
個人的にはノンバンク系で借換もしにくいイメージだったので利用はしませんでしたが、十分にキャッシュフローが出る小規模の築古アパートであれば良いのかもしれません。
過去に中古アパートを購入しているのは大丈夫か
今すでに中古アパートを持っている人は融資が出ているときに「買っておいてよかった」でしょうか。
中古アパートに融資が出なくなったということは、すでに持っている人からすれば「売れにくくなった」ということです。
「中古アパート」を長期保有を前提しているのであれば問題ありません。
ただし「売却する」という出口戦略を前提に「中古物件」を購入したとすれば、今の融資状況はかなりリスクを持ったことになります。
ある不動産会社の営業の方に「中古物件」は「ババ抜き」とも言われるくらい難しいと言われたこと思い出しました。
当たりまえですが「売却」をするということは、オーナーにとっては所有するメリットのない物件なのです。
中古アパートを対応できる覚悟がなければ購入すべきではない
キャッシュフローも出ていれば安定的にアパート経営できているのであれば、売却する理由はありません。
それでもアパートを売却する理由は何でしょうか。
「管理が大変」「入居者がつきにくい」「税金など維持費がかかる」「相続できない」などのネガティブな理由からが多いのではないかと思います。
専業での不動産経営をされている方であれば、比較的時間もあると思いますのでネガティブな内容も対応できるかもしれません。
サラリーマンのような本業を抱えている場合は、管理やリフォーム対応などでそれなりの覚悟とリスクが必要になってきています。
高金利で借換もしにくい金融機関しかない中で、中古アパートを愛着もって30年以上も所有は現実的でしょうか。
だからといって利回りが高くない新築アパートがベストかとは言い切れません。
それは、その人の求める目的と条件によって異なるからです。
「スルガ銀行」「静岡銀行」のアパートローンの方針転換、「西武信用金庫」の業務改善によって不動産投資全体が思わぬ方向に舵を切ったのかもしれません。