新築ワンルームマンションは家賃収入のためではない
新築ワンルームマンションを販売する営業手法として、一般的な不動産投資のメリットである「家賃収入」をメイン目的にしたものではありません。
販売元のホームページなどを見るとおおよそ下記のようなことを挙げていることが多いです。
・頭金が少なくても始められる
・「安定収入」が期待できる
・減価償却費による節税効果が期待できる
・将来の生活の備えとなる
・相続税対策になる
個々の項目自体には間違ってはいませんが、具体的な数値(金額など)が書かれていないので効果がわかりにくい表現になっています。
販売する不動産の内容が購入する方の条件によって異なるので、すべての人に恩恵があるわけではありません。
しかし最近の新築ワンルームマンション販売はさきほど挙げたセールスポイントよりも「生命保険の代わりになる」ということで成約をされることが多いようです。
「生命保険代わりになる」と言われる理由
新築ワンルームマンション投資が「生命保険の代わりになる」と言われているのは、団体信用生命保険に加入するからです。
団体信用生命保険は、団信と呼ばれおり住宅ローンの際にも適用されます。返済中に万が一のことがあった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保障制度です。
住宅ローンで利用する場合には、万一の不測の事態も考えなければなりません。その際に収入が激減すれば、たとえ一般の生命保険に加入していても保険金を生活費に充てられて自宅に住み続けるのは難しくなります。
この団信に加入していれば、万が一のときに、生命保険会社から支払われる保険金によって住宅ローンの残債務が弁済され、残されたご家族に住宅ローンが残らず自宅に安心して住み続けることができるのです。
新築ワンルームマンションの場合も同じで、結局のところ生命保険を活用するから保障が得られるので結局は生命保険なのです。
一般の生命保険と違うのは支払い先
一般的な生命保険の保険金との大きな違い保険金の行き先が変わるだけです。
万が一があった際に生命保険金がご家族に支払われるのか、残債務の返済のために銀行に返済として支払われるのかの違いしかありません。
ただ、新築ワンルームマンションは自宅ではないので、現実的に部屋の広さから家族が住むことができません。
現金が必要となった場合、ワンルームマンションを現金化するには一般生命保険のようにすぐにもらえる訳ではありませんので、売却するしかありません。
売却となった場合は、買取専門業者への手続きなど面倒な作業が発生しますし、新築ワンルームマンションであれば大半が購入価格より低くなるので大きなお金にもならないと思います。
賃貸業を継続するということも期待できますが、空室のない満室経営が前提になります。空室になっても修繕費や固定資産税、管理費などの経費がかかるので現金で一括してもらったほうが良いと考える家族も多いかと思います。
生命保険と同じとして購入できるか
新築ワンルームマンションの商談では「生命保険の代わりになるので、生命保険を解約して不動産オーナーになりませんか」ということをセールスポイントにしています。
特に新築ワンルームマンションは、赤字経営になりやすい不動産商品です(それを節税効果につなげている場合もあります)数千円〜数万円の持ち出しになることが多い商品です。
そんなときに畳みかけるように「毎月数万円も保険料を払うよりも、賃貸収入を得ながら資産形成ができる方が良いのではないでしょうか。」と言われれば納得する方も多いのではないかと思います。
しかし、新築ワンルームマンションは資産としては評価が分かれるところです。ワンルームマンションは土地は持分所有になります。
土地付きのアパートであれば、建物評価がなくなったとしても土地からの利活用が期待できますが、マンションの場合はそのようなことができません。
資産形成としても評価が難しいなかで、購入者の目的次第ですが少なくとも生命保険代わりだということで購入するものではないように思います。