今年の春ぐらいからの動きがあった村上ファンド系投資会社「レノ」が「レオパレス再建」に本腰を入れてきました。旧態依然の経営層にメスを入れることができるのか、不動産投資全体が大きな転換期を迎えそうな感じです。
経営再建中のレオパレス21は17日、大株主の投資会社レノ(東京・渋谷)が取締役全員の解任などを求めていることに対し、反対を表明した。臨時株主総会の開催にも反対し、両社の対立が決定的となった。レノから開催許可の申し立てを受けている裁判所の判断を経て、委任状争奪戦となる可能性が高い。
レノは著名投資家の村上世彰氏が関与するファンド。2019年12月27日にレオパレスに対し、臨時総会を開いて宮尾文也社長ら取締役10人全員の解任と、村上氏が推薦する社外取締役3人を選任する議案を諮るよう要求した。
引用:日本経済新聞
このような状態になることは現経営陣も想定はしていたはずだと思いますが、反対するだけで改善策が何も出てこないのであれば説得力がありません。
レオパレスが事業譲渡する日が近づく
レオパレスは役員解任についても「業務上大きな影響を及ぼすことは明らかで弊害しかない」としている。
施工不良アパートの対応が予定通りに進捗をしていないので、すでに業務上の影響は及ぼしています。少なくとも「施工不良アパートは直りました。安心してください」と言っても信頼は回復することはないでしょう。
投資会社レノが示している内容は以下になります。
- 臨時総会の開催
- 宮尾文也社長ら取締役10人全員の解任
- 村上氏が推薦する社外取締役3人を選任
- アパート賃貸事業は外部への譲渡
- 海外ホテルの売却
- 他事業の再編
特に主力のアパート賃貸事業は「信頼回復すれば2000億円以上の価値がある」と指摘していますので、不動産展開を期待する同業種の不動産会社や異業種のIT企業への譲渡も期待されます。
東証一部上場企業である「TATERU」が主力の「新築アパート開発・販売」からほぼ撤退したように事業転換が求められると思います。
少なくとも興盛していた数年前の経営状況には現経営陣は戻すことはできないでしょう。
レオパレスの名前がなくなる日
もし臨時総会が開かれれば、レノの株主提案が可決されるには総会出席株主の5割の賛成が必要となります。
レオパレスの株主構成をみると下記の3社で約45%を保有していますが、投資会社レノ以外は対外的な態度は示していませんが、今のレオパレス経営陣と連携することは考えにくいので、決議が採択される可能性が高くなります。
- 投資会社「レノ」
- 英運用会社「オデイ・アセット・マネジメント」
- 国内運用会社「アルデシアインベストメント」
事業再編となるとブランドも一新されて、すでに不信感の象徴的な名前となった「レオパレス」という名前は消滅することが予想されます。
レオパレスが管理している約39000棟のアパート名称も「アパート入居募集」にもすでに影響が出ているので段階的に変更されていくことが予想されます。
そうなると施工不良アパートのままの「隠れレオパレス」アパートが増殖し、不動産投資オーナーが誤って購入してしまう可能性があるので注意が必要です。
施工不良アパートに関しては、レオパレス側もインターネットなどで責任をもってつまびらかに公開をしてほしいと思います。
事業譲渡される影響は大きい
事業譲渡をされるとレオパレス本来のビジネスモデルが変更される可能性もあります。その中心となるのが「サブリース」モデルです。
サブリースモデル自体の価格減額や停止といった選択肢もでてくると思います。その分家賃が安くなり入居者にはメリットがあるかもしれません。
その分、アパートオーナーの収入が激減し、金融機関への返済に対しての影響が大きくなりますので、簡単ではありません。
しかし今までこのような施工不良アパートや不利なサブリース契約などで賃貸経営をしていたこと自体がすでに破綻したビジネスモデルなので致し方ない状況だと思います。
レオパレスは売却したお金で少しでも施工不良アパートを買い取るなど、最後の誠意を見せてほしいと思います。
この記事の感想
- レオパレスが今の事業モデルで継続することは考えにくい
- レオパレスブランドが消滅する可能性が高い
- 補修ができていない「隠れレオパレス」アパートが増える
- サブリースモデルの見直しは確実にある
- オーナーと金融機関への影響は大きい
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