新築一棟マンションの株式会社フェイスネットワークの不動産投資事業が迷走中です。都内でも城南エリアと呼ばれる「渋谷区」「世田谷区」「目黒区」を中心に展開をし、今年東証マザーズにも上場をした企業です。
物件の主な特徴としては、フェイスネットワーク社のサイトに掲載されている説明資料では下記のようなスペックで展開をしており、サラリーマン大家には不向きな内容です。
・家賃10万円弱、部屋数10-15戸程度の1R中心
・ 20代から40代女性をメインターゲット
・デザイン性と居住性の両立
・1棟平均約4億円
・高所得者向け
・相続税対策(高額)
しかし11月に発表された2019年度第2四半期の説明資料では失速ぶりがうかがえます。
売上高:27.3億円
営業利益:-1.6億円
経常利益:-2.6億円
純利益:-1.4億円
なぜこの話題を取り上げたのかは、最近ネットメディアに掲載された「このグラフがひどい2018」に関するニュースでフェイスネットワークがノミネートされたのです。雑すぎるグラフ、激しくミスリーディングなグラフ、純粋に意味がわからない謎のグラフなどを「ひどいグラフ」と称して一部のネットユーザーで盛り上がっています。
そのグラフが、上場当日に発表された「成長可能性に関する説明資料」になり、入居率の数字を表した内容です。
ネットでは「『9棟を除く71棟の入居率は100%』というそれなんでもありでしょという何か。」「不都合だから」以外の何物でもない理由で「9棟を除く」と指摘をされています。
上場当時の勢いを出すために可能性を説明したかったのでしょう。その数字の表れとして「100%」をどうしても強調したかったのではないかと思いますが、不動産投資をされている方であれば「?」がついてしまう表現です。最新の入居率は自社管理物件105棟に対して98.8%になります。
しかし、都内の一等地であるにも拘わらず98.8%でも低いような感じです。105棟とするならば、105棟×15部屋×98.8%≒19部屋が常時出ていることになります。家賃設定が高いのかどうかわかりませんが、同じ新築でも地方都市(関東、名古屋、福岡)のアパートのほうが入居率が良さそうな印象です。
一度セミナーに参加したことがあるのですが、利回りやキャッシュフローに関しては具体的な数値はほとんど説明がありませんでした。セミナー後にメールで質問しても私の属性では顧客条件に当てはまらなかったのか返信は無しでした。とても残念な対応でした。
株主向けの説明会での質疑応答の中で利回りは4.5%以上と回答していますが、土地も高いRCとなると固定資産税だけでも高額が予想されるのでキャッシュフローは驚くほど出ないのでしょう。まさに新築ワンルームマンションを1棟まるごと購入する商品になっています。
また上場時の説明資料には次の成長戦略として「創作支援型シェアリング事業」と称した中古一棟ビル をリノベーションしたシェアオフィス、シェアハウスを展開するような社会貢献的ビジネスモデル掲げていました。
しかし融資状況が厳しいのか、半年も経たないうちに事業の次の柱として「ファンディング事業」を挙げています。(この展開は「TATERU」と同じです)不動産小口化展開することにより富裕層だけでなく新規顧客を目的としていますが、競合も多いのでこれからが正念場になるでしょう。