施工不良アパートで問題となったレオパレスですが、旧村上ファンド系の投資会社で大株主であるレノからの要求を受ける形で臨時株主総会を開催することになりました。
現経営陣が頑なに開催要求を反対していたのに、一転して開催に踏み切るようになりました。背景に一体何があったのでしょうか。
臨時株主総会を開催しなくてはならない理由
賃貸アパート大手のレオパレス21は24日、旧村上ファンド系の投資会社でレオパレスの大株主「レノ」(東京)から請求されている臨時株主総会について、開催に向けて検討すると発表した。
関係者によると、2月27日の開催が有力という。レオパレス21は今月17日に開催しない方針を表明していたが、方針を一転させた。レノはレオパレス21の全取締役の解任などを求めており、今後、両者が委任状争奪戦を展開する可能性がある。
引用:産経新聞
会社法によると「全議決権の3%を6カ月以上保有する大株主は裁判所の許可を得れば、会社側から招集手続きが行われなくても株主総会の開催を招集できる 」ことを定めています。
投資会社レノは十分に条件を満たしているので、ここぞというタイミングで要求してきたのです。
この規定に従うことになれば、レオパレスはいずれ裁判所から株主総会の開催を命じられることになるので、開催せざるを得ない状況になったと考えられます。
しかしこの規定を知っていたならば、半年前からリスクを予想しておくべきかと思いますが、直前になってレノが本腰を入れてきたので焦っているだとしたら、危機管理がないと思われても仕方がありません。
いずれにしても「委任状争奪戦」となればレオパレスとしても新たな局面を迎えることになり、予定されている2月27日の開催内容によっては経営方針が大きく舵を切る可能性があります。
委任状争奪戦とは
委任状争奪戦とは、委任状は英語で「プロキシー」であることから、「プロキシーファイト」と呼ばれることもあります。
一種の選挙のようなものと考えると理解しやすいと思います。投票に相当するのが株主による議決権の行使です。議案は以下のようなものが挙げられます。
- 決算の承認
- 会社の経営方針
- 取締役の人選
株主総会の多くは、現経営陣が提出した議案が「賛成か」「反対か」を株主に問うかたちとなります。いわゆる「信任投票」となるわけです。
しかし場合によっては「対抗馬」が現れることがあります。株主が独自の提案を行い、経営者側と対立する構造になります。
これによって、株主総会は「信任投票」から、より多くの株主の賛同(議決権)を獲得しようという「選挙戦」へと突入することになるのです。今回のレオパレス臨時総会では、この選挙戦になる可能性が高くなります。
日本での事例は最近になったこの事例が増えてきました。一番最初の事例は村上ファンド時代に起こった2002年の東京スタイル本格的な委任状争奪戦とされています。
- サッポロHD
- TBS・楽天
- モリテックス
- 大塚家具
レオパレスの今後
投資会社レノの以下の要求内容に対して多くの株主が賛同することがあれば、現経営陣は要求通りの事案を受け止めるしかありません。
- 宮尾文也社長ら取締役10人全員の解任
- 村上氏が推薦する社外取締役3人を選任
- アパート賃貸事業は外部への譲渡
- 海外ホテルの売却
- 他事業の再編
レオパレスの経営は業界最大手という立場を活かして強引に経営していたことで成立しています。その中心となっていたのが、サブリース方式のアパート経営です。
しかしこの方法は、最近の動きとして契約内容の不透明性さから、事業者登録制の導入など簡単には出来ない仕組みになりつつあります。
同じサブリースの仕組みを入れている同業他社も含めて、地主系のアパート会社は大きな展開期を迎えていくのかもしれません。
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