コロナウイルスで生活環境が一変し始めています。テレワークや時差出勤による影響も大きいですが、これを機会にオフィスの首都圏集中も変わってくると予想されます。
東京都も今回のコロナウイルス感染防止策としてオフィス街と呼ばれる昼間の人口密度の高い地域にわざわざ出勤することを避けるように呼びかけています。
ロックダウンと呼ばれる都市封鎖が起これば、オフィスに出ることもできずに経済活動に大きな打撃を受けます。
すでに一部の企業は本社機能的なものを郊外に移動させているという話も聞きます。首都圏での自粛が長期化するとオフィス街で働く人は住むエリアに対する考え方も変わってくると思います。
賃貸にする理由は「購入のデメリット解消」
オフィス街で働く単身者の多くは賃貸が多いと思います。また最近では若い夫婦などの二人暮らしの方も「賃貸でしばらく住む」ことが増えています。
賃貸を借りる人の理由としては、家を購入することに対するデメリットを解消する傾向があります。
- 住宅ローンに縛られたくない
- 税金が高い
- 天災時に所有していることがリスクとなる
- 仕事で引越しする可能性がある
- 家族構成で引越しする可能性がある
引越しする可能性があるものの「住宅ローン」という縛りを受けたくないということが大きいです。
購入することで同じ地域に30年以上も住む家を考えると慎重にならざるを得ないということでしょうか。この住宅ローンがあるからこそ住む土地は良くても「賃貸」選ぶ人が増えているのだと思います。
家賃が上昇傾向にある
東京オリンピックで湾岸エリアなどを中心に東京都全体の分譲マンションが高くなっているという話を聞きますが、賃貸相場も平均募集家賃が上がっています。
不動産情報メディアのアットホームによると特に東京 23 区のマンションは5年で10%以上値上がりしました。これは全国的にも上昇傾向のようです。
値段が上がっている理由は二つ考えられます。一つは「設備などのハイグレード賃貸を求めている」でもう一つは「入居者が動かない」になります。
理由1「設備などのハイグレード賃貸を求めている」
住宅ローンの縛りがあるから分譲マンションを購入することはしたくない層が一定数いるのですが、買いたくはないが分譲マンションのような設備のある賃貸物件を求めています。
分譲マンションは値段が上がって住宅ローンも組みたくない層でも生活レベルは落としたくないという点からハイグレードの賃貸物件を借りたい人は多くいます。
またハイグレード設備はマンションだけではなく、最近では木造アパート、鉄骨造アパートにも同様の設備を求めている人も増えています。
具体的には「バストイレ別」だけでは物足りなく、同じバストイレでも「浴室乾燥機」「タンクレストイレ」を選ぶのです。
設備が豪華になれば、必然的にコストがかかるので家賃が上がってきます。これらの値段が上がったとしても住まいの快適性を求める層にはニーズがあるのです。
理由2「入居者が動かない」
賃貸物件でも分譲マンションなみに設備が良い物件は長期間住むことが多くなります。仕事で転勤など余程の理由がなければ引越しはされません。
ごくまれに2年おきに引越しをするなど趣味のような方がいますが、基本的には引越しにはお金がかかるので一般的な行動ではありません。
そのような考えの入居者が居心地良い物件とマッチすれば引越しする理由がないのです。
引越しをしない居心地の良い賃貸物件であれば、当然人気が出てきます。賃貸物件によっては退去待ちの入居希望者も出てきます。
最近ではコンパクトマンションのようにコンセプトが明確なものは若い人にも人気で絶えないと聞きます。
人気があるなら家賃を下げることはありません。需要と供給のバランスから家賃が上がっていきます。
不動産の所有者からすれば「入居者は動かない」「家賃が上がる」は一番嬉しい状態になります。
今、賃貸希望者は「駅近」より「設備」重視
コロナウイルスにより賃貸物件への考え方も大きく変わるかもしれません。在宅勤務やリモートワークにより会社へのアクセスが良い物件を選ぶ必要がなくなりそうです。
通勤時間より家で過ごすことが重要になってきます。そのような志向が高くなると賃貸物件の設備や周辺環境が大事な選択肢になり、駅からの距離がそれほど重要な要素ではなくなってきます。
不動産投資で物件を購入する指標に「何がなんでも駅近」というこだわりを持たなくても良いエリアが増えてくることが予想されます。
今回のコロナウイルスにより「働き方」「暮らし方」への価値観に大きな変化をもたらすのではないかと思います。