先週22日にTATERUの「経営方針の策定」が発表されました。不正融資から始まった一連の騒動の後に、子会社の売却、ホールディングス構想の中止、大規模なリストラと拡大路線を中止せざる状況に追い込まれました。
1年もかかっての発表は東証一部上場企業とすれば遅いとした思われても仕方がない状態でした。やはりコンプライアンスの根本的な見直しから始まったため相当数の議論がなされたのだと思います。
翌日の株価が上がったことから市場からはネガティブ要素を出し切ったとして好意的に受け入れらた様子でした。
不動産投資をする立場からすれば、もう以前のように新築アパート業界を先陣を切って走っていた「TATERU」ではない方針でした。
TATERUはアパートを作らない会社になった
一番衝撃が大きかったのは「新築アパート事業」をメインの事業にしないと言うことを発表したことです。
アパート販売事業
- 国内外の富裕層顧客への販売強化
- 不動産ネットワークを活用し、好立地物件を厳選して取得
- IoTなどによる商品力の向上
資料の説明の中では「リスクコントロール領域」としています。
「リスクコントロール領域」は分かりにくい表現ですが、ソニーの戦略に合わせると「テレビ事業」や「モバイルコミュニケーション事業」といった事業の変動性や競争環境を意識した領域になります。
マイナス要素にはならないように「リスクの低減」と事業継続するための「利益の確保」がメインとなります。
今回の発表では、TATERUビジネスを牽引してきた「アパート事業」を主軸に置けない状況にまで追い込まれました。
しかも販売相手は従来のサラリーマンではなく社内外の「富裕層」と言い切っています。
これは新築アパート購入に欠かせない金融機関が皆無になったことを表しています。現金のある富裕層にしか売れないと言っているのです。
また場所も厳選するとなると利回り3〜4%程度の物件しか販売しないかもしれません。
TATERUはアパート管理会社になる
代わりに主軸に置いてきたのは「PMプラットフォーム事業」です。
PMは「プロパティマネジメント」のことで、不動産投資で示すところの「管理業務」です。
大手アパート会社と同じくストック収入(管理収入)を安定領域としています。
PMプラットフォーム事業
- 管理料収入からの安定したストック収入(サブリースゼロ)
- IoT商品の販売拡大
- 保証サービスの拡大
レオパレスのようなサブリースはいれていないとしていますが、アパート自体が違法建築ではないTATERUであれば安定的に入居者が確保できるのかもしれません。
実際の入居率は98.8%と高い数値を維持していますので、非常に大きな方向転換だと思います。
実際に「PMプラットフォーム事業」は全社員の大半を占める80名が担当になっているようです。
管理戸数 26,099戸としていますので、かなりの数を管理しないといけないで仕方ないのかもしれませんが、斬新なデザイナーズアパートが出てこないとなると残念ではあります。
これから新築アパートを購入できる人はチャンス
今回のTATERU新築アパートの建設ピークは過ぎたかもしれません。以前であればTATERUやシノケンは同じエリアで競争するかのように建てていました。
実際に新築アパートの入居に対しての競争率が激化し、新築でも広告費を積まないと空室が埋まらないという状況が生まれました。
しかし、大手アパート会社であるTATERUが参入できないとなると、物件が厳選され競合アパートが乱立しなくなります。
そのような状態で建てることができたアパートは希少価値が高く、安定したアパート経営ができる可能性が高くなります。
新築アパートを購入するのであれば、現在サービスを展開しているアパート会社を大小問わず吟味していくことが大事です。
ここ1年間は厳しい状態でしたが、来年明けの年度末3月ごろには一部の物件では融資が出るかもしれません。
新築アパートで不動産投資を始めたい人にはチャンスです。