「歩合制」は不動産業界のイメージを悪くする原因

不動産業界が歩合制

TATERUが廃止した「歩合制」

TATERUが先日発表した「新経営方針」では事業の大きな見直しを掲げました。新築アパート建築をするのではなく、プロパティマネジメント(管理会社)に徹するといった内容でした。

 

そこでもう一つこの事業転換の裏付けとなる発表がありました。それは「歩合制」の廃止です。

 

歩合制は「インセンティブ制度」や「変動型賞与」と呼ばれる制度で、業績に応じてもらえる給与が増減することです。

 

会社の事業部や所属チーム単位で増減するのではなく、個人の成績によって給与が変動するのです。

 

TATERUは新築アパート事業に置いて「歩合制」を導入し、業績を伸ばしてきた背景があります。

 

以前、掲載されていた求人情報には「20代で年収1000万円」といった内容で営業スキルのある人を募集していました。

 

一般的に固定化された給与だけでなく、歩合制だから現実的に「年収1000万円」ができるのです。年収1000万円になるには相当数の物件を販売しなくてはいけません。

 

会社としては、インセンティブを与えることで「販売数を増やす」ことができ、営業側も売れることで「給与が増やす」ことができるので、双方にとってWIN-WINな関係にもなります。

 

しかしTATERUは新築アパート事業をメインにしなくなったことで、営業人員を減らすことになります。「歩合制」を導入する必要もなくなったのです。

 

営業の「歩合制」には2種類ある

歩合制は大きく2種類のパターンがあります。それは「歩合制(固定給)」と「完全歩合制」になります。

 

歩合制(固定給)

通常の固定給(月給)にプラスする形で「歩合制」を導入しています。こちらは雇用形態に関係なく導入されています。

 

毎月一定額の基本給は保障されていますが、その額は一般的な企業の基準額より低く抑えられています。下記のような職業の方になります。

  • 保険業界の営業職
  • 飲食店の店長
  • 美容師
  • 自動車のディーラー

歩合制の部分に関しては「成約1件につき」や「売上の10%」など職種によって様々です。

 

完全歩合制

完全歩合制はフルコミッションと呼ばれています。企業(雇用者)とは「個人事業主」「業務委託」のような関係になります。

 

あらゆる業界でフルコミッションの仕事があります。個人の営業力で業績に大きく差が出る商品やサービスが多いようです。

  • 投資用不動産の営業
  • エステサロンのエステティシャン
  • 通信回線の営業
  • インターネット広告の営業

 

固定給が無い状態に対して、歩合給が大きく設定されているため、成績次第ではかなりの高収入を実現することができます。

 

頑張った分だけ報酬が増えるので、期間を決めて稼ぐという目的のある方にとっては適している仕事です。

 

何がなんでも買わせようとする投資不動産営業

不動産業界はフルコミッション型が多い業界です。営業のプロでもありますが、悪い言い方をすれば「売るためなら手段を選ばない」とも言えます。

 

特に「投資用不動産」の営業スタイルは、問題視されていることがあります。

 

投資用ワンルームマンションでよく見られる「悪質な営業」を指摘されます。「無作為に抽出されたリストへの電話営業」「強引な契約を迫る営業」など一般的には悪いイメージがついています。

 

生活のためとはいえ「投資価値のない不動産」を売り続けている企業も中にはあると思います。

 

今回のTATERUも新築アパートの営業手法において、問題視されていたから歩合制停止になったと考える方が自然です。

 

投資用不動産業界での「歩合制」は「企業」と「営業」にとってはメリットがあるかもしれませんが、購入者を配慮しない営業手法だと思います。

 

今、販売実績が厳しい投資用不動産ですが、この機会に「歩合制」をできるだけ排除した業界になり、顧客の考えを優先した余裕のある提案にシフトチェンジほしいと思います。