世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、世界で感染が広がる新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明しました。2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶりのパンデミックです。
新型コロナウイルスの感染は約110カ国・地域以上に拡大し、累計の感染者数は12万人超ました。人工的に作られたという噂もある未知のウイルスは我々の生活を直撃し、世界経済への深刻な打撃が長期化しそうです。
東京オリンピックの延期論も出ていますが、そもそも参加する側も渡航できない可能性もあるので早々に結論を出すべきではないかと思います。もはやオリンピック開催は日本だけの問題ではなくなったような感じがします。
経済対策には緊急での規制緩和が必要
普段の生活においては学校の休校やテレワークなども基本的に外出ができなくなることを想定して、デジタル化による生活環境を整えていく必要があります。
先日も経団連はデジタル革新を後押しする規制改革の提言をまとめています。「オンライン診療」や定期検査を廃止する「スマート保安」など全85項目の規制緩和を要望するとしています。
中でも新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた観光分野では年間180日までという「民泊ビジネス」の営業日数の上限を撤廃が盛り込まれています。
民泊ビジネスとは
空き家や自宅の一部を有償で貸し出す民泊ビジネスです。
- 空き家や空き部屋などの資産を有効活用
- 観光客による地域の活性や地方創生に貢献
- 許可を取得しておくと民泊物件として売却
Airbnb(エアビーアンドビー)の普及で加速し、国内でも様々な民泊マッチングサービスがリリースされ、訪日外国人の増加を背景に一気に増加しました。
今年は東京オリンピック開催により通常以上の訪日客や国内の観光客の増加が見込まれておりました。
ホテルも足りない状況であることは周知の事実でもあり、「民泊」の存在が注目され、新規でのビジネスへの参入者が増加する一方でした。
また不動産投資ですでに実績のある方には親和性もあり、空室を利用して「民泊」にビジネスをシフトしていく投資家も多くいました。月々の家賃収入よりも利回りの良い「民泊ビジネス」は魅力的な投資対象でもありました。
一時期、都内の中古ワンルームマンションは「民泊」目的で購入希望者が増え、高値での売買がされていたのです。
民泊ビジネスの打撃は深刻
自宅を一般人に貸し出す「民泊ビジネス」は相当な打撃を受けています。春休みなどの繁忙期前にも関わらず予約キャンセルが相次ぎ、売上が8割~9割減といったビジネスオーナーも出ているようです。
もっとも自宅を貸し出して「民泊ビジネス」をされている方であれば、もともと所有しているので負担が少ないのかもしれませんが、このビジネスを目的にマンションなどを購入してしまったオーナーは厳しいものがあります。
民泊ビジネスで確実に収益を上げるためには、都市部であることが重要になってきます。観光客がメインであれば、やはり交通の便が良いところになります。
そうなると必然的に購入する不動産も高価なものになります。そうなれば現金を持っていない限りは銀行でローンを借りるしかありません。
同じローンを使った投資ビジネスである「不動産投資」は、月額での家賃収入があるので高い利回りではないにせよ確実に返済できる計画が立てやすいのですが、訪日客を含めた観光客頼みの「民泊ビジネス」は安定感がありません。
1ヶ月分の返済もできないのはNG
ここ数週間の予約状況で「民泊を続けるのが難しい」というのは「手持資金」がない証拠です。自転車操業的な運営なっているのか、入った収入をそのまま浪費してしまっているのかいずれにしても経営的には成立していません。
最低でも3ヶ月~半年はローンが返済できるくらいの現金を持っておくことが絶対条件です。1か月収入がないだけで撤退しないといけないのは、収支計画に問題があります。
今回の新型コロナウイルスでは色々なことが試されています。軽い気持ちで参入したビジネスや投資であれば良くない収支状況に陥っている可能性があります。
「変動的だが短期的に多くの利益を受ける投資」か「長期間で堅実で安定のある投資」のどちらがサラリーマンに向いているかは一目瞭然ではないかと思います。
今回の新型コロナウイルスが与える実体経済への過去の経験では想像できない展開が待っているのかもしれません。
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