昨日はある脱税事件が取り上げられていました。昨年10月に不動産投資関連会社ですでに事業を停止している「わひこ」の実質的経営者であった金井和彦容疑者が逮捕されました。
架空の損失などを計上する手口で、2017年までの3年間におよそ4億6,000万円の所得を隠していたとされているので極めて悪質な行為が横行していたと思われます。
不動産投資会社「わひこ」の実体とは
「わひこ」はいわゆる「三為業者」と呼ばれる部類の不動産会社とされています。
「三為業者」とは、いわゆる「不動産の転売屋業者」のことです。
物件を仕入れてすぐに転売する三為業者にとっては、自社で登記による「不動産取得税」や「登録免許税」支払いを省略する形になるのでメリットがあるのです。
また不動産購入する買主側にとっては転売利益が乗っているために、高値づかみで買わされてしまう場合があるとされています。
不動産取引で「仲介手数料はいらない」というセールストークがあります。さも物件を直接売買できるような感じですが、実際には仲介手数料以上に物件価格に上乗せされている可能性が高いです。
わひこの物件には利益が20~30%乗っていたとの噂があります。仲介手数料は売買価格400万円以上の不動産取引の場合は、「売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税」としていますので、法外な利益があったと予想されます。
不動産投資バブルの象徴的な会社だった
「わひこ」は一時期は上場する勢いで売上を伸ばしてきた不動産会社でした。毎週のようにセミナーが開催され、インターネットを中心に多くの広告を配信していました。
しかし三為業者としての「中間省略スキーム」だけでなく、「二重売買契約」「顧客の資産改ざん」「一法人一物件スキーム」などをグレースキームのオンパレードの会社だったと言われています。
「わひこ」は2~3年前にサラリーマンによる不動産投資が過熱していた時期に勢いのあった「水戸の大家さん」「ケリーバックス」のように、不動産投資バブルの象徴的な会社だったと思います。
そして「かぼちゃの馬車」の販売代理店としても事業を展開していたのですが、スルガ銀行の不正融資により、事態は急変し事業継続が困難になり会社を清算せざるを負えなくなりました。
それ以前に売上を伸ばしていた時期に架空取引により脱税行為もしていたとなると、とても上場できる会社の品格ではありません。
「わひこ」のような同類の不動産投資コンサルティング会社は完全になくなったわけではありません。融資が厳しくなっているなかでも新たなスキームで展開している不動産会社は多くあると思います。
不動産投資は長期でのお付き合いできるパートナーが必要になります。
購入する側も「投資用不動産購入できたので良かった」というわけにはいきません。「勢いのある会社」「派手な会社」は継続性があるのか見定めないといけません。