コロナ不況で不動産投資に関する見通しが不透明な中で、不動産投資融資の最大手の金融機関であるスルガ銀行に新たな動きがありました。
スルガ銀行からの融資で購入したシェアハウス物件の所有者257人に対し、土地や建物を手放せば借金の返済を帳消しにすると発表しました。
スルガ銀は所有者の収入証明書類を改ざんするなどして、シェアハウスの実際の評価額を上回る金額を融資を実行し、不動産業者と連携して物件を高値づかみさせるなどしていた悪質な事件の首謀者のひとつでした。
スルガ銀行は今回の257人に対し、計約440億円、平均で約1億7000万円を融資していたとのことです。都内とはいえ木造のシェアハウスに2億円近い融資をしていたとなると相場価格よりも逸脱していると思わざるを得ません。
スルガ銀行のシェアハウス問題は不正事件の始まり
スルガ銀行は女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」など、投資用不動産をめぐる1兆円規模の不正融資が明らかになった金融機関です。
この事件により「不動産投資」が「悪い投資」「詐欺が横行」といったネガティブなイメージを世間に知らしめてしまいました。
そのあとに続くTATERUの融資資料改ざん問題やレオパレスの施工不良アパート問題など、それまで隠れていた不正の数々が明るみに出たのです。
シェアハウス向けに不正融資を行っていたスルガ銀行によると、今回の発表以外にも約1000人の所有者がいるとのことです。こちらの所有者に対しても、要望があれば同様の対応を取るとしています。
結局、儲かったのは不動産仲介会社
このシェアハウス問題が起こった要素として様々な指摘があります。「体育会系でパワハラが横行したスルガ銀行が悪事に手を染めるしかなかった」「何も勉強しない購入者が悪い」など欲に目がくらんだことにより正常な取引ができていなかったと思われます。
しかし一番儲かったのは物件を斡旋した「不動産仲介会社」なるのではないでしょうか。
不動産仲介会社としても契約上は販売するまでの付き合いになるので、その後何が起こっても責任がありません。シェアハウス問題に関しては、このような不動産仲介会社が複数存在したと言われていますが仲介会社の在り方も問題視しても良いように思います。
投資用不動産を購入する際は、管理も含めて長い付き合いができる信頼できる会社を選ぶということも大事な要素になってきます。
コロナ不況前に方針が決まったのが幸い
コロナ不況前に手放すことができたのは不幸中の幸いかもしれません。東京オリンピック延期に伴い不動産価格も不透明な中で返済がなくなることは所有者としても最適な選択肢になったことでしょう。
また東京都内はロックダウン直前の状況にあります。シェアハウスのような密接な環境で暮らすのは集団感染の危険度が高まりますので、しばらくの間は入居希望者も少なくなると予測されます。
一連の不正融資によるシェアハウス問題が収束したかのように思えますが、不動産投資の悪評と他の金融機関も融資に後ろ向きになってしまった原因をつくったことは間違いありません。
不動産投資に関しての投資環境を悪化させたという点では「銀行」「不動産仲介会社」「所有者」の方々の責任も重大だと思います。
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