スルガ銀行が10月25日に、関係解消を進めている創業家が保有する株式について、家電量販大手のノジマが全株式を取得すると発表しました。
ノジマは既に株式の一部を保有しており、議決権ベースで18・52%を保有することになります。結果、スルガ銀行の筆頭株主となり経営に対する発言権が強くなります。
スルガ銀行の再建に関しては、大手の金融機関である新生銀行やSBIホールディングスが名乗りを上げていただけに意外な結末を迎えたような感じです。
ノジマの狙いはクレジットカード事業
大手家電量販店の株式会社ノジマは、神奈川県横浜市に本社を置く家電量販店の企業で業界5位の規模になります。
家電量販店は従来の店舗型のビジネスは競争が激しく各社とも新たな領域を攻めています。
業界で先駆けてきたヤマダ電機が「脱家電量販店」を掲げて2011年、プレハブ住宅を手がけるエス・バイ・エルを買収したことは衝撃的でした。
さらにリフォーム事業や不動産事業など家電領域にとどまらない動きをしています。
ヨドバシカメラはインターネット通販に注力し、当日配送などAmazonにも負けない配送ネットワークを活かして成長しています。
そして今回のノジマは2015年に携帯販売大手のアイ・ティー・エックス(ITX)を買収した。
さらに2017年には富士通子会社ニフティが運営していたインターネット接続など個人向け事業を250億円で買収したこともで話題になりました。
今回のスルガ銀行への動きは新たな領域での挑戦を目指しています。その中心となるのが5月に業務提携を始めたクレジットカードなどによる金融サービスです。
5月の発表ではクレジットカードの共同事業化や対面やネットを利用した金融サービス向上、フィンテック事業の共同展開を検討するということでした。
しかし半年もたたずに大量株取得し、一気に攻勢をしてきたことにより家電業界の生き残り競争がさらに激化した形になります。
不動産投資への融資復活の期待があるのか
スルガ銀行からすれば長年の課題であった創業家との決別ができる良い機会でもあります。それは今後の再建に向けて大きな前進となっているのです。
しかしスルガ銀行が大きく伸ばしたのは、高収益であった不動産投資の融資業務です。2018年の不正融資により一気に縮小をせざる負えなくなりました。
ノジマによる筆頭株主は「不動産投資」への融資は前向きなのでしょうか。
次の事業の中心としてクレジットカード事業やそのほかのローン事業に傾倒するのであれば、不動産投資への融資への期待ができないのが現状ではないかと思います。
すでにネガティブ要素が強いスルガ銀行の「不動産投資への融資」を方向性の違うノジマが再建するとは思えません。
不正融資によるシェアハウスの所有者とのトラブルもまだ完全に解決しているわけもなく、敢えて、不動産投資の領域には入ることはないでしょう。
一部、不動産投資への融資が解禁されていたので、大手金融会社が再建に介入してくるのであれば復活も期待できましたが、しばらくは不動産投資への融資は無いと考えたほう良いでしょう。
サラリーマンによる不動産投資には融資が必要です。
いまだに次の中心となる金融機関が出てこないので不動産投資が再び活況するにはまだ時間がかかりそうです。