不動産投資への融資が積極的な金融機関である「三井住友トラスト・ローン&ファイナンス株式会社」の融資基準が変わったようです。
融資の総額が他行の金融機関の借入を含めて「2億円」となったという情報が入りました
もし事実だとすれば築古アパートなどではスピードを持って対応していた金融機関だけに不動産投資家への影響範囲は大きいと思われます。
目次
三井住友トラスト・ローン&ファイナンスとは
「三井住友トラスト・ローン&ファイナンス株式会社」は一般の方には馴染みのない金融機関ですが、不動産投資家の間でが「三井住友トラストL&F」と呼ばれて、スルガ銀行、西武信用金庫の並ぶくらいの有名な金融機関です。
大手金融グループである「三井住友トラスト・ホールディングス」の一つです。しかも昨年発表の最終損益では軒並み大手金融グループが減益していくなかで、「三井住友トラスト・ホールディングス」だけが増益となりました。
三井住友トラスト・ホールディングスは、三井住友信託銀行株式会社を傘下に置く銀行持株会社です。
同じ名前を持つ三井住友フィナンシャルグループである三井住友銀行とは、直接的な資本関係はありません。お互いに独立した金融機関になります。
三井住友トラストL&Fは「ノンバンク」と呼ばれるカテゴリーの金融機関です。ノンバンクとはお金の貸出ししか行っていない金融機関のことです。預金業務といった仕事を行っている銀行などとはその点が大きな違いとなってきます。
不動産担保ローン |
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住宅ローン・アパートローン |
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取り扱っている商品を見る限りでは「不動産」を中心とした融資を積極的に行っている金融機関であることわかります。
三井住友トラストL&Fでできる不動産投資
三井住友銀行とは独立しているということもありますが、三井住友トラストL&Fはノンバンク系の貸金業者です。
イメージだけで大手銀行の三井住友銀行系と思ってしまいますが、実際には異なりますが信頼できそうな感じがします。
以前の融資条件は下記のようになっておりました。
融資期間 | 最長35年 ※築年数にかかわらず長期の融資 |
金利 | 3.9%〜 ※団体信用生命保険付きであれば4.3%〜 |
エリア | 主に都市部 ※地方でも融資が出る場合あり |
融資条件 | 頭金を2割以上 ※共同担保できる物件が必要。担保ない場合は6割以上必要 ※組成手数料(融資額の2.16%)を払う必要があり |
属性 | 特に制限なし ※不動産投資関連の法人(資産管理法人)への融資も可能 |
不動産投資での借りやすさという点では、非常に使い勝手のよい金融機関であったことが間違いありません。有名な築古専門の不動産投資家も「三井住友トラストL&F」を推奨しています。
三井住友トラストL&Fで行う不動産投資とは
属性が高くない人が一気に不動産を購入できたのも三井住友トラストL&Fがあったからとされている時期がありました。
築古系の物件でキャッシュフローを作っていく王道のスキームとしては、概ね下記のような方法です。
1)現金で築古戸建を購入する
2)購入した築古戸建を担保に中古アパートの融資を受ける
「築古物件で不動産投資」を進める不動産投資家の多くはこの方法を進めています。しかしこれはキャッシュフローが10数%以上出ていた物件に限ります。
今は地方含めて、全室空室物件やリフォームが必要など難しい条件でなければ出てこない条件です。
初心者のサラリーマンであれば難易度の高いスキームです。
三井住友トラストL&Fも新築に移行か
三井住友トラストL&Fの築古物件による不動産投資スキームも閉じられたという話を昨年の夏あたりから出ていました。
しかし今回の増益となった理由が「不動産仲介関連の手数料」あるのでれば、別の形での不動産に関する融資を行っていたことになります。
スルガ銀行を始めとした金融機関は金融庁の指導もあるのか、条件に合わない不動産への融資を制限してきています。結果、新築ワンルームマンションや新築アパートへの融資が増えている傾向にあります。
三井住友トラストL&Fの融資上限額は2億円まで
三井住友トラストL&Fはノンバンクなので、融資をしないことにはビジネスが継続できません。しかし今回の情報では、融資額の上限が2億円ということを明確に打ち出してきました。
しかも他行の借入状況と合わせて2億円となると、専業の不動産投資家は相当厳しい状況になると思われます 。
それは不動産投資を拡張していくことが困難になるということです。売買を繰り返して資産を拡張することが難しくなってきます。
数年前まで流行っていた地方RC一棟を4~5棟購入して「最速10億円 キャッシュフロー年間1000万円」のような不動産投資はできなくなります。
もっともサラリーマンで10億円の融資はリスクがありますので、いままで借りすぎていたのかと思います。
ノンバンク系も融資上限額を抑えてきたことにより、サラリーマンによる不動産投資にブレーキがかかってきます。
融資が出ないということは「買うこと」ができません。そうなると「売ること」も必然的にできなくなるのです。
1億円以上の地方の中古マンション1棟を持っている人は要注意です。売り先がなくなったので長期保有を前提に計画を立てていく必要があります。
またこれで「投資用不動産」を仲介していた業者へのビジネスも厳しくなりましたが、法外な価格で転売をメインとした業者が一掃されるかもしれません。
これとあわせて不動産投資の不正融資の厳格化により、不動産投資自体が健全な方向に進んでいければと思います。
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