日本政策金融公庫でも不正融資発覚か

日本政策金融公庫の創業支援制度を悪用

不動産融資の最後の砦の一つである「日本政策金融公庫」に新たな疑惑が出てきました。スルガ銀行の行員と連携してデート商法詐欺まがいの行為をしていた業者が、日本政策金融公庫から創業支援制度に基づく融資を不正に引き出したという疑いです。

 

スルガ銀行の行員と連携してデート商法詐欺まがいの行為をしていた業者が、起業する計画をでっち上げ、日本政策金融公庫から創業支援制度に基づく融資を不正に引き出した疑いがあることが30日、分かった。

 

関与した男性が共同通信の取材に「難なく承認が下りた」とし、法人登記すらしていないと明かした。日本公庫は審査の甘さを突かれた可能性が高い。

 

日本公庫広報部は「個別事案には答えられないが、事業計画の適切性などを審査して融資しており、実態がないなど疑義が生じた場合は事実関係を確認して対処している」としている。

引用:ヤフーニュース

 

スルガ銀行の不正融資からインターネット専業銀行、フラット35に続き政府系金融機関にまで不正融資の疑いがあったということになります。

 

今回の不正融資はスルガ銀行を利用したデート商法での摘発された業者でしたが、不動産投資関連の融資であったかもしれません。

 

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫は、行政改革の中の政策金融改革の一環として2008年10月1日に発足しました。

 

国民生活に深くかかわる国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の合わせて3つの政策金融機関が統合されて国内金融業務を担っています。

 

【国内金融業務】

国民生活事業
(旧国民生活金融公庫)
国民一般の資金調達支援
中小企業事業
(旧中小企業金融公庫)
中小企業の資金調達支援、信用保険制度
農林水産事業
(旧農林漁業金融公庫)
農林水産事業者の資金調達支援

 

「民業圧迫」という意見も出てきており業務が一部見直しもされています。例えば、国民生活金融公庫が行っていた業務のうち、教育資金の貸付については、低所得者の資金需要に配慮しつつ貸付対象範囲を縮小したことなどが挙げられます。

 

不動産投資での日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫はスルガ銀行と並ぶくらいに不動産投資の初心者が融資が受けやすい銀行として有名です。

 

日本政策金融公庫は民間の銀行ではなく、政府系の銀行ということで融資条件として大きな特徴があります。

 

民間の金融機関のように利益を追求するという目的ではなく、個人零細事業者や、起業をする方、中小企業などを支援して自立して成長していってほしいという考え方があります。

 

不動産投資でも事業として評価をされれば融資を受けることができます。

 

対象エリアが広い

融資エリアは極めて広く日本全国どこでも可能なのです。このエリアの広さについては、都銀以上の内容なので融資できないエリアはほとんどないと言われています。

 

不動産融資の上限は4800万円

収益不動産への貸付は、4800万円の壁があると言われています。これ以上借りることもできますが審査の基準が厳格化されます。

 

また、社会的弱者の位置づけの若者、女性、高齢者になりますと、7200万までを上限として融資を受けることができます。

 

融資期間は15年

融資期間も物件構造に関係なく、一般の方へは10年もしくは15年となります。社会的弱者の方向けとしても最大20年が融資期間の上限となります。

 

融資期間が短くてもキャッシュフローが回る物件しか選択できないことになりますので新築アパートよりか築古の中古アパートに利用されることが多いと思います。

 

新創業融資制度とは

日本政策金融公庫 国民生活事業では、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方に無担保・無保証人でご利用いただける「新創業融資制度」を提供しており、今回の不正融資はこの制度を利用したのでしょうか。

 

利用できるのは、下記の要件をすべて満たせる方とされています。

創業の要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
雇用創出等の要件 雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」

又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方

自己資金要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方

 

融資限度額は、3,000万円(うち運転資金1,500万円)としていますので、事業として認められれば無担保・無保証で利用できる創業融資であり、創業者にとって利用しやすい制度となっています。

 

融資代行業者の存在

日本政策金融公庫の融資を受けるには創業計画書などを記入しないといけません。初心者からすれば他の銀行よりハードルが高いかと思います。攻略できるマニュアルのようなものが存在するようです。

 

その日本政策金融公庫の創業支援制度を代行する業者もいます。いわゆる成果報酬型の代行ビジネスになります。

主な代行業務内容 ・金利優遇の交渉
・融資額の増額
・融資までの期間を短縮化
・提出書類作成(サポート)
・公庫とのやり取り
・融資面談での同席

 

報酬額は借入額の数%か固定で数十万円の請求が相場のようです。

 

今回の不正融資疑惑にこのような代行業者が関与しているわけではないですが、融資を引き出す際のテクニックには必要のようです。

 

不動産投資での不正な融資ということであれば、スルガ銀行やTATERUのような預金通帳の改ざんや二重契約なども実施されていた可能性があります。

 

政府系金融機関でもボランティアではないので、営業ノルマも当然存在します。不正融資を行った金融機関と同じく業者との癒着がなかったかも追及されるかもしれません。