スルガ銀行 不正融資が13402件

不正融資

投資用不動産向け融資で総額1.8兆円

スルガ銀行は15日、投資用不動産向け融資で総額1.8兆円の全件を対象にした不正行為の調査結果を正式に発表しました。投資金額もさることながら対象となった件数にも驚きです。疑惑も含めると13402件です。

 

先日のレオパレスの施工不良アパートの最新情報が発表されましたが、その時の数値は4月末時点で計1万5628棟に上ったと発表しています。スルガ銀行も1万3402件と互角の数字です。不正融資は相当なインパクトを与えてしまいました。

 

借り入れ希望者の預金通帳や売買契約書の改ざん・偽造といった不正行為は約5500億円あり、その他の不正が疑われる融資などを含めると不適切な融資は全体の6割強を占める計1兆700億円に達した。

賃貸用のアパート・マンションに対する不正融資がまん延していた実態が改めて浮き彫りになった。15日、静岡県沼津市で記者会見したスルガ銀の有国三知男社長は「これだけの件数の不正があったのは、とても申し訳ない」と謝罪した。

スルガ銀は昨年10月に金融庁から新規融資業務を半年間止める命令を受けた。社員・幹部らの暴走を許した経営体制の改革を経て、5月下旬に融資営業を再開する。

引用:日本経済新聞

 

不正融資の大半は、中古一棟または新築アパートか

不正行為が発覚した発端になったシェアハウスを含め、スルガ銀の投資用不動産向け融資全体で3.8万件あると公表しています。その金額が実に1.8兆円になります。単純計算になりますが1件あたり4700万円となります。

1.8兆円 ÷ 3.8万件 = 47368421円 ≒ 4700万円

 

しかし不正金額の総額は、積み上げると1兆700億円で不正に関わったとされる案件は実に13402件になると発表しました。単価を見てみると1.13億円となります。地方の中古アパートないしTATERUなどの新築アパート規模の話になります。

1.07兆円 ÷ 13402件 = 79838830円 ≒ 7900万円

 

不動産投資の中でも新築ワンルームマンションではない、売上、利益共に高く見込める一棟物件に集中していたことが予想されます。また調査結果によると下記の行為を改めて認めています。

・自己資金や年収を示す書類を改ざん

・不動産の売買契約書を偽造

 

新たな手口として自己資金の建て替えという行為もしていたとしています。スルガ銀は不動産取得費用の1割を自己資金でまかなうことを融資実行の条件としています。

 

この条件を形式的に満たすために、物件を販売・仲介した不動産業者が一時的に借り入れ希望者の自己資金を立て替えた疑いのあるとのことで、さらにグレースキームが露呈されてしまいました。

 

今回の全件調査の対象となったのは全部で3万7907件。不正が認められた融資の「延滞率」について3カ月以上返済が滞っている延滞率が低く入居率も8割超と「民間調査に比べ高い」と強調しています。

 

破綻が連鎖的に起こらないように本当に収益性のある物件に融資をしていることを望むばかりです。

 

 

創業家の確執はレオパレスと同じ構図か

 

スルガ銀行は15日、新生銀行などと業務提携を発表したが、出資を伴う資本提携には踏み込まなかった。スルガ銀株の約13%を握る創業家側が株式売却に応じず、提携先にその受け皿になってもらうとの構想自体が揺らいでいる。

 

旧体制との決別が遅れ企業統治の正常化が不透明になるだけでなく、不正融資問題で傷ついた信用力の補完や財務体質の改善がつまずき経営再建の足かせになりそうだ。

 

岡野光喜前会長ら創業家側におもねる過度な営業実績主義は不正融資の温床になったとされ、企業統治の回復は再建のカギを握る。

引用: SankeiBiz

再建方針に水をさしているのが、創業家の存在です。このことにより業務提携もうまく進んでいないと発表しています。これもレオパレスの深山一族のトップダウン経営と同じ構図なのでしょうか。

 

急成長するときは必要なスタイルかもしれませんが、不祥事が起こった際には一気に崩れていく組織構造であることを露呈してしまったかと思います。

 

企業のガバナンスを改善するには権力の分散をすることと、独裁者の排除をした上で、監視体制の強化しかありませんので、早々に体制が出来上がることを望みます。

 

またスポンサー候補の筆頭となる新生銀は1998年に破綻した日本長期信用銀行が前身です。すでに公的資金約3500億円の返済めどが立たないなど経営基盤が弱い状態です。

 

他の大手銀行と比べ安定はしていませんのでそれなりの経営努力が必要になると思われます。

 

 

銀行は公的な責任を持たないといけない

銀行は民間でありながら公的な責任を持たなくてはいけない業種です。まずは顧客保護が最優先です。すでに解約している顧客が急増している中ですがそれをクリアにしないといけません。

 

数多くある銀行の中で、スルガ銀行が選ばれることをするためには独自のサービス展開以前に、顧客優先での安定した経営になることが一番大事かと思います。