「1法人1物件」は何のために行うのか

りそな銀行が「1法人1物件」に制裁開始か

「1法人1物件」スキームに関する記事が「楽待」で取り上げられています。コメントをみると賛否両論の意見にもなっていますが、実際にスキームを実施した方の条件にもよりますので、肯定も否定もできないという印象です。

しかし初心者のサラリーマン不動産投資家には、普通に考えてリスクがある内容だとは直感的に思います。5年くらい前の話ですが、私も知り合いですでに不動産投資をしているサラリーマンの方からも「法人をつくるのが拡張するのに一番早い」と自慢げに言われたことが印象に残っています。

その方は当時「スルガ銀行」や「地方銀行」を使って進めていました。その後どうなっているのかは聞いていませんが、ひょっとしたら一括返済や金利条件の変更などで厳しい状況に陥っているのではないかもしれません。

直感で「1法人1物件」のメリットがわからなかった

その当時は話を聞いてもメリットが良くわからないということが正直なところです。不動産投資以外の投資でも同じですが仕組みが理解できないものは手を出さないほうが良いと思います。たとえ信頼できる人が勧めてきたとしても、自分の納得しないものはリカバーすることもできないと思います。

時間とお金がかかる

最初に「1法人1物件」スキームを聞いてときに一番面倒だなと思ったのは、設立が時間とコストがかかることです。「合同会社」であれば安く済む的な話を聞きましたが、司法書士との打ち合わせや印鑑の購入、設定手続きなど個人購入以上に複雑になりそうです。

1社だけならまだしも複数社設立するとなると、同じ作業になるためさらに手間がかかります。平日の昼間に役所や銀行への行くことも考えると日中忙しいサラリーマンであれば、現実的ではありません。

不動産投資で会社設立を専門にしているコンサルタントなる方もいるので、委任できるのかもしれませんが、さらに手数料コストも必要になります。また複数法人あれば法人数分の維持管理コストがかかります。サラリーマンで対応できるレベルではないと思いますので、そこまでして本当にメリットがあるのかと思います。

法人同士でのお金の融通が面倒

個人所有の場合、各物件のキャッシュフローをまとめて、次の物件の頭金や繰り上げ返済に充てたいということは良くあります。各物件を融資元の金融機関の普通口座に入れて管理しているのでお金を引き出して対応できます。

融資元の銀行からは引き出すことは良い印象ではないと思いますが、再投資ということであれば、「浪費」をしているわけではないので悪い評価にはならないと思います。再投資で上がった利益を必要に応じてまた預入すれば良いです。(もっとも1,000万円以上を普通口座に入れておくほうがリスク的にもよろしくないと思います。)

しかし複数法人がある場合、お金の貸し借りが煩雑になると思います。税務上、金利を付けないといけないようです。無利息の場合に税務調査が入った場合には利息計算されて納税することも発生します。

1法人1物件は、手続きが面倒なのでおそらく億単位の高額物件が大半だと思います。新築ではなく中古マンション一棟としたら、大規模修繕が発生した場合はその法人内で対応するしかありません。規模は拡大しても運営面で応用が利かないのであれば個人所有のほうが良いような感じがします。

廃業手続きが大変

複数法人を持っているのであれば、いずれは誰かに継承しなくてはいけません。もしできないのであれば「廃業」するしかありません。個人に売却という選択肢もあるかもしれませんが、融資元の金融機関との調整を考えると理由含めて対応が面倒になることが予測されます。

会社を起業している人に「設立」より「廃業」のほうが数倍手続きが面倒という話を聞きました。(結婚より離婚のほうが数倍パワーがいるということと同じなのかもしれません。。)不動産投資の初心者からすれば安易に融資を受けれるから法人設立したとしか見えないです。設立したからには長期で資産を増やしていけるように計画的に実行してほしいと思います。

一時のための「1法人1物件」でいいのか

「2年で30億円不動産」「5年で50億円不動産」など短期的に物件規模を大きくしたいがための「1法人1物件」であれば、初心者のサラリーマン不動産投資家は選択すべきではないと思います。それはマネーゲームをしているだけのように思います。

高年収のサラリーマンや外資系、士業系の方に対して不動産投資会社から提案を受ける場合が多いようですが、理解できていない状態で「規模拡大」のために言われるがままに対応してはいけません。

当然ですが、複数の法人設立者として最後まで責任がとれる心構えではないといけないと思います。周囲に迷惑をかけてまで不動産投資はするべきではありません。ましてやスルガ銀行のように「通帳改ざん」までして法人設立をしたとなるともってのほかです。

それでも短期間で「1法人1物件」スキームが実施することができたのは「金融機関担当者のノルマ」のため、斡旋した「不動産会社の売上(手数料)」のために結託としか思えません。また購入者側も「法人を設立して代表取締役になりたい」という考えで不動産投資を始めたわけではないと思います。

いずれにしても、初心者のサラリーマン不動産投資家には縁のない話と思っておいたほうが良いと思います。ビジネスセンスのある方で度量あれば複数法人を設立しても対応できるのだと思います。数十年維持して巨大な法人組織になっているかもしれません。ただ不動産投資の目的は「何だったのか」は自問すべきかなと思います。

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